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2008年06月16日
ぐずぐずとした天候が続く日々、よしっと降り立ったのは小田急線柿生駅(1)。北口を出ると空は今にも泣き出しそうで、ほんの少しでも刺激しようものなら、ざーっと雨が降り落ちてきそうです。カバンの中の折りたたみ傘を確認し、やや急ぎ足でおさんぽ出発!
麻生川(2)のフェンスに「あさお川健康づくりの小径」と書かれたパネル。柿生新橋から川沿いを小田急多摩線近くの山口橋まで歩いた後、橋を渡って今度は反対側の川沿いを戻ってくる1周約1.6kmのウォーキングコースが案内されています。
そして、赤い文字で「体重50kgの人がゆっくり1周すると消費カロリーは約50キロカロリー(食パン6枚切約1/3枚に相当)」との添え書き。食パン1枚食べたら3周かあ……(?)。と、川をぼーっと見つめていたら、「コイもたくさんいるけど、ナマズもいるんだよ」と近所の男性。「ほらね」と指さした先に、ちょびヒゲの黒いナマズが2匹、コイにまじって泳いでいました。
「開発のために森林が伐採されて、地面がアスファルトで塗り固められたでしょ。雨が降ると川の水かさが一気に増えるようになったんだよね。以前は地中にちゃんと染みこんで、そう変化することはなかったんだけどね」。う〜ん、近ごろの気象にもよるでしょうが、気になる話です。
津久井道を横断し、おさんぽ通信 第23回柿生駅〜五月台駅を歩こう!でお弁当を買った「おむすびカフェ さんぽ」を通過。柿生小学校の校門前で麻生川と再会します。ここで麻生川は片平川と合流し、柿生駅の南の方へ。そこで今度は片平川に沿って歩き始め、すぐに熊野堰跡(3)と刻まれた碑を見つけます。
片平という地名は「片方は丘が迫り、もう一方は平坦で水田が広がっていた」ことに由来するといわれています。田に水を引くために設けられた堰の跡に平成元年、「片平老人クラブ」が句碑を建立。それらは片平川周辺の7ヶ所にあり、これはそのひとつ。柿生小学校へ目を移すと、「このグラウンドは大雨の時、雨水を一時貯水して、少しずつ流す大切な役目をします」と説明板。川沿いには昔も今も“ならでは”の設備があるのです。
片平橋を左折して眺めた住宅地案内地図に片平中町遺跡公園(4)の文字。公園内80段の階段を上った高台に縄文時代早期〜中期の集落跡で発掘された「敷石住居址」が保存されています。息を切らしながら着いたところにはベンチが1台。振り向くと眼下に住宅地の街並みが広がり、なんという眺め! それではベンチに座ってひと休みと思ったら、ぽつりぽつりと雨が降ってきました。
道路脇のブロックで仕切られた水溜まりに足を止めます。パイプから流れ出ている透明な水はきらきらと輝いていて、湧水かな? 底にはぷくぷくとした茶色いものが沈殿しています。そういえば、片平川の流れにも一部、茶色になっているところがあったなあと再び片平川沿いへ。遊歩道(5)から片平中村通公園に入り、おっ、ここにも調整池がある、と見ます。
「このへんの地下2メートルくらいから湧き出している水は鉄分を含んでいるんでしょうね、茶色いんです」と教えてくれたのは、ブルーベリー園 さるだべりー(6)の長瀬さん。「もっと深い井戸の水は茶色くないんですけどね」。長瀬さんの家は30〜40年前までは米作りをしていて、ブルーベリーは10年前から作り始めたそうです。「雨が降るとブルーベリーは水分をたくさん吸収し、甘みや酸味が薄まります。水分が少ないほうが濃く感じられますよ」。
ブルーベリー園から坂を下って、次にお邪魔したのは草木工房(7)。染色家・山崎和樹氏が草木染の研究や作品を制作している場で、講習会も開催されています。「染料には庭に生えている藍やよもぎの葉、桜の落ち葉なども使うんですよ」と山崎氏の奥さま。「藍染めの場合、布や糸を染料液に浸して絞っては空気にさらすという作業を繰り返していくうちに、色が変わっていくんです。青でも何種類もの青が生まれるんですよ」「同じ染料を使ってもその時季によって色が違ってきますし、染料を重ねる際でも先にどれを使うかによって変わってきます」。
片平川沿いの道で7ヶ所のうちのまたひとつ、仲町堰跡を発見。そこから少し進んだところではどこから染み出しているのか、水が岩につたう様を眺めます。五月台駅(8)へ向かおうと明るくなってきた西の空を見たとき、あ、雨が止んでいると気がつきました。
日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。