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2008年07月15日
小田急多摩線五月台駅(1)は丘の上に建つ駅。南口駅前から続くイチョウ並木は緩やかな下り坂で、ほどよい木陰のなかを片平公園そばの交差点まで行くと、坂はがくんと急勾配。下るうちにスピードがついておっとっと、とならないように、足を少し踏んばって慎重に進みます。
左手に畑の中へ入っていく急な上り坂。この道は通っていいのかなと迷っていると、坂上から日傘を差した女性2人。「いつも買い物の行き帰りに利用していますよ。市道だから大丈夫」と教えてくれました。この畑の中の道(3)は舗装されていなく、土と草の香りが充満。畑に植えられた花や木には白い小さな札が掛けられ、「ききょう」「紫苑」「クレマチス」「桜蓼」「花水木」などと記されています。
トラクターの男性に「もっと先まで行けるよ」と言われて着いたのは、右手に川崎田園都市病院を望む草はら。後方に建つ麻生総合高校からは元気な掛け声「1! 2! 3! 4! オーエス!」や、発声練習中のピアノ&歌声「♪あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜」が風にのって耳に届きます。先ほど歩いていた五月台駅の丘を正面に眺め、深呼吸。気持ちいい〜!
草はらを後にして民家のあいだを抜けていくと、竹林とあじさいの道。ん? いつか来た道? と上っていくと、第8回栗平駅〜川崎フロンターレ麻生グラウンドを歩こう!で道に迷ってたどり着いた保存樹林のカキノキ(4)。あのときと同じように大きな木陰でひと休みします。
前回、柿生小学校のそばで熊野堰跡、中町橋のそばで仲町堰跡を発見したように、片平には7ヶ所の堰跡があります。仲堰跡以外の6ヶ所には片平老人クラブによる句碑がサクラの木とともに建立。地域の歴史を今に伝えています。
また、片平には7つの堰だけでなく、7つの橋、7つの台(丘)、7つの字、7つの谷戸、7つの社、7つの塞神がありました。それぞれが偶然にも同じ数だけ揃っていたので「片平の七不思議」といわれていたそうです。七不思議のすべてを探すのは、さぞかし探しがいがあるだろうと思いながら、とりあえず、7堰のうちの残り4堰はどこだろうと歩を進めます。
右手に見えてきたのは湯快爽快くりひら(6)。汗を流しにちょいと寄りたい気分ですが、ここはぐっとがまん。金井原橋の近くで金井原堰跡、その少し先で大堰跡(7)を発見し、「田水引く 時を待つ間の 蛍かな(片平老人クラブ)」と句碑に刻まれた句を読みます。
「私がお嫁に来たのは昭和28年(1953)で、店の前はまだ砂利道でしたよ」と話してくれたのは、「創業慶応元年」の看板を掛ける飯草酒店本店の奥さん。お店は潜った水路のすぐ近くにあります。「水がちょろちょろと生い茂った草の間を流れていて、雨が降ると堰にたまっていたのは覚えていますね」。
日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。