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2008年10月15日
生田緑地東口(1)に立つと、まわりの緑に白く覆いかぶさる霧。秋雨がしとしとと降る日は手に持った傘がちょっと邪魔ですが、しっとりと濡れた木々の葉の青さにハッとさせられ、心が浄化されるひとときを過ごせます。
まず訪れた建物は、明治後期築の原家(3)住宅。22年の月日を費やして建てられた大地主の豪華な木造2階建てです。この日、室内では、はた織りを実演中。「15メートルの長さに揃えたタテ糸にヨコ糸を通して織っていきます。織り進むのは1日に50センチくらい。和服を作るのに必要な布一反15メートルを織り上げるには根気が必要ですね」と話を聞きます。
日本民家園では「民具製作技術保存会」の方々によって、はた織り、わら細工、竹細工の実演が毎週日曜などに行われています。作品の展示会、頒布会が催されることもあり、ちょうど原家で開かれていた織物の展示会(11月24日(祝)まで)の作品は、わあー! とおもわず声をあげてしまうものばかりでした。
山下家住宅1階には「そば処 白川郷」が営業しており、雰囲気たっぷりのなかで自家製そばを味わえます。また、山下家住宅前の休憩所には団子屋(5)が出店。だんごや餅、きび大福などが売られていて、ふぅ〜っと、ひと休み。いやいや、何度見まわしても、自分がどの時代にいるのかわからなくなります。
作田家(6)住宅では、わら細工を実演中。「いま作っているのは囲炉裏に吊して、串刺しの焼き魚を保存しておく道具『弁慶』。七つ道具を背負った弁慶になぞってつけられた名前だろうね。魚は大切なたんぱく源だから冬にあぶって食べたり、そばの出汁をとるのに使ったりしたんだよ」。
「どうぞ、あがっていってくださいね」と声をかけられたのは、清宮家(8)住宅で行われていた「床上公開」。毎日、「炉端の会」のボランティアスタッフが民家2〜3棟の囲炉裏に火を入れ、来園者を床の上に迎えてくれます。室内を自由に見学できるうえ、スタッフの方に建物について話を聞くこともできます。赤く燃える炎、薪がはじける音、立ちのぼる煙の香り。囲炉裏のまわりには独特の空気が流れ、時間はゆっくりと流れていきます。
南部曲り屋の工藤家(9)住宅の囲炉裏は、ほかの民家のものと造りが少しちがいます。「土間からも利用できるようになっているんですよ」。スタッフの方に家の造りについて教えてもらうと、古民家めぐりがよりおもしろいものになります。毎週土・日曜・祝日14時からは炉端の会による「園内ガイド」が行われ、古民家の特色を解説。当日自由参加OKなので、気軽に参加できそうです。
階段を何段も上って、船越の舞台から伝統工芸館(10)へ。気がつけば、いつのまにか雨があがり、頭上に落ちてくる水滴は茅葺き屋根からのものだけ。ん? 茅葺きの屋根って、水はけがよくないのかな? 今度おさんぽしたら、スタッフの方に聞いてみましょう。
日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。