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特 集

    男女共学中等教育学校の新カリキュラム「6年間のロードマップ」が発足5年目を迎える桐蔭学園中等教育学校。一貫教育ならではの方針について、学び支援主任の一蝶亮(いっちょう りょう)先生と5年生(高2相当)の姥浦公輝(うばうら こうき)さん、吉髙愛乃(よしたか あいの)さんに話を伺った。(以下、敬称略)

    6年一貫の教育で「生きる力」をじっくり養う

    • 先の読めない時代を生き抜くためには教科以外の学びも大切、と語る一蝶先生(左)。
      姥浦さん(右)と吉髙さん(中)は5年生になって理系を選択した。

    「6年間のロードマップ」の概要を教えてください

    一蝶 本校は6年かけて自ら考え、判断し、行動できる人間になるための学びを系統立ててカリキュラム化しています。クラス替えは2年ごとで、「出会う」「深める」「飛び立つ」の3段階に分けて個人の資質能力を育てます。具体的には1年生で新しい仲間と出会い、2年生では地域連携の問題解決に触れ、3年生では摸擬国連の活動をベースとした探究学習、4年生では企業とのコラボレーションなど、徐々に視野を広げていきます。5年生の探究では、総仕上げとして、これまで集めた情報をまとめて論文を完成させます。テーマは生徒が一番興味のあることを対象に設定します。

    姥浦 印象に残っている授業は、3年次の探究授業「15歳のグローバルチャレンジ」です。自分が担当したジンバブエの食料問題について、調べ方を教わりながら学び、発表しました。自分がいかに世界の国について知らなかったかを実感しました。

    5年生の「探究」の論文にはどんなテーマを選びましたか?

    吉髙 映画に興味があるのですが、最近は小説や漫画を原作とした映画の実写化について賛否両論、意見が巻き起こっています。そこで多くの人に受け入れられる実写化映画について調べています。

    姥浦 僕は「集中力」がテーマです。人はどんな状況で集中力が高まるのか?をテーマに、いろいろなパターンを想定して実験したり、文献を読んだりする作業を始めています。

    一蝶 4年次にデータサイエンスの授業がありましたが、データの適切な処理を学んだ経験をもとに、論文作成に生かしてほしいですね。これは大学でも社会でも必要なスキルとなります。

    将来の学びを見据えたプログラムにはどのようなものがありますか?

    一蝶 一つは4年生の夏に開催するアカデミックキャンプです。希望制ですが、大学の研究室へお邪魔して2~3日研究活動を行います。もう一つは独自のオープンキャンパス企画で、昨年は東京都立大学の模擬講義を受けることができました。

    姥浦 僕はアカデミックキャンプに応募し、国際基督教大学で生物学の授業を受けました。大学生に交じって実験し、専門性の高い大学の雰囲気を知ることができました。

    吉髙 私は都立大のオープンキャンパスに参加しました。進路について、大学生と直接話せたのがよかったです。

    受験勉強と自己実現のバランスはどのように考えていますか?

     一蝶 本校の教育課程をピラミッドに例えると、一番上に知識、その下に考える力、行動する力があり、底辺を支えるのは「どう生きたいか」という個人の価値観です。「どんな人でありたいか」を考えることによって初めて勉強への原動力が生まれるのです。

    姥浦 社会に出たらいろいろな問題にぶつかると思います。一人で解決できない時は周りの人の協力も必要になる。そんな時に他人と信頼関係を築ける大人になりたいです。

    吉髙 私はインターアクト部に所属してボランティア活動を行っていますが、将来も何らかの形で社会に貢献できる大人になりたいです。

    一蝶 変化する社会において、答えのない課題に対して自分なりの最適解を見つける力を養ってほしいですね。


    • 中等教育学校6年間の
      ロードマップ
    • 生徒の発達段階に合わせて
      じっくり成長を見守る
    • 緑豊かな環境の中に立つ学び舎

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    取材協力:桐蔭学園中等教育学校

    横浜市青葉区鉄町1614
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    http://toin.ac.jp/ses/


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