6年前、男女共学となった桐蔭学園中等教育学校。「ミスモアネックス夏号」では、初めての卒業生となった森泉媛乃(ひめの)さん、橋本舟翔(しゅうと)さん、井上礼(あや)さんに学園での学びについて伺った。今回はその拡大版(全3回)の第二弾として、探究学習などを通して将来を見据える5・6年生についてのインタビューを公開する(以下、敬称略)。
人生を切り拓く能力を多様な選択肢から育む②
6年間スキー部に所属して、成長を実感した森泉媛乃さん(右)、模擬国連部や生徒会で仲間と協力することの大切さを学んだ橋本舟翔さん(中)、幼い頃から抱いていた獣医の夢に向かって大学へ進学した井上礼さん(左)。
5、6年生は探究学習などを通して進路や将来のことを見据える時期ですね。論文を書くと伺いましたが、皆さんのテーマを教えてください。
井上 私は「四つ葉のクローバーの人工栽培」というテーマで書きました。テレビで四つ葉のクローバーができる仕組みを見て、小さい頃、駐車場で四つ葉のクローバーを見つけたことを思い出したんです。クローバーの葉は踏みつけられると刺激を受けて細胞分裂を起こすということを知り、予測を立て家の庭で実験・検証してみることにしました。論文を書くにあたって先生から指導いただいたのは、実験の重要性でした。論文に説得力を持たせるのは実験のデータであると教わったので、とにかく数値を出すことを目標にしました。
橋本 「演説におけるつかみの重要性」について実験を行いました。模擬国連では、多人数を相手に立ってディスカッションをするのですが、聴衆は興味のある人のところに集まってきます。最初は人を集めることができなくて精神的に厳しかったですね。そのときの体験を元に、「どうしたら関心を持って自分の話を聞いてもらえるのか」について文献を読んで知識をつけました。そこで得た仮説は「演説は最初の1分間で決まる」というものです。最初のつかみがうまくいかないと人は集中して話を聞いてくれないのではないか、と考えました。そこで演説の原稿をAIに作ってもらい、自動音声で語り口の公平性を担保した上で、いくつかのつかみのパターンを組み込んで測定しました。結果的には話者の人間性に重点を置いたつかみを取り入れたパターンが、より長く聞き手の集中力を獲得できました。
森泉 私は音楽が好きなので、「音楽の好みは親の好みに影響されるか」をテーマにしました。自分の好みはどんなところから影響を受けて出来上がっているのだろうという素朴な疑問からでしたが、アンケートを取ったり、資料を調べたりしたことが良い経験になりました。
そのほか、どのような活動が印象に残っていますか?
井上 5、6年生のとき、学年主任の先生から桐蔭横浜大学の生物の研究に参加してみないかと言われました。私が獣医学部を目指していると相談した上でのアドバイスでした。授業に参加しただけでなく、学会でポスター発表まで挑戦させてもらいました。この経験が後に獣医学部を受験することにつながったと思っています。
橋本 2年生と5年生で生徒会長を、4年生では副会長を経験しました。私たちは桐蔭学園中等教育学校が共学になった第一期生です。新しい生徒会では一から生徒会規約を作るために奔走し、自分たちの手で新しい生徒会規約を作り上げました。他学年を巻き込みながら大きな壁を乗り越えることができたのは大きな収穫です。
※最終回は7月中旬公開予定!
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取材協力:桐蔭学園中等教育学校
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