第3回 ヒガンバナ

2023/08/28

  秋の彼岸の頃、田んぼのあぜ道などに鮮やかな赤い花を咲かせるヒガンバナ。別名を曼珠沙華(マンジュシャゲ)ともいい、サンスクリット語で「赤い花」、「葉より先に咲く赤い花」を意味する。また仏教の経典である『法華経』を釈迦が説いた際に、これを祝して天から降った花のひとつであるとの言い伝えが転じて「天上の花」と呼ばれるようになった。
 ヒガンバナの学名はリコリス。大船フラワーセンターでは10年前にリコリスの園芸種を独自に交配させ、現在20種類ものリコリスが鑑賞者の目を楽しませている。入り口手前で目を引くのはお馴染みのヒガンバナ。その先には同じくリコリスの仲間である黄色いショウキズイセン、クリーム色やピンクがかった優しい色合いのリコリスと続く。
 花弁もさまざまで、細長い形状が放射状に開いたタイプ、フリルのような華やかなタイプ、比較的幅が広くユリに似たタイプなどバリエーションも豊かだ。地上から細い茎がスーッと伸びた先に伸びやかに咲き誇る花はまるで花火のよう。角度によって印象が変わるので、お気に入りの一枚を写真に納めてみてはいかがだろう。
 園内の中央を一直線に伸びるヒガンバナの花壇を散策すれば、一服の絵巻のごとく移り変わる様に心奪われる。夏の終わりに、幽玄な世界を堪能したい。


大船フラワーセンター

TEL0467-46-2188 鎌倉市岡本1018 営業時間/9時〜17時(季節により異なる) 定休日/第2・4月曜(祝日の場合は翌日休)  入園料/大人400円、学生・20歳未満200円、高校生・65歳以上150円 ほか 駐車場あり JR大船駅から徒歩16分