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ふるさとの銘菓

    ふるさとの銘菓

    全国の郷土のお菓子を紹介。実際に食べての味わいや食感、歴史や開発秘話も。

    第57回 志ほせ饅頭(東京都中央区)

    2019/01/26
    塩瀬総本家 本店 
    ご注文・問い合わせ 
    TEL0120-106-741
    東京都中央区明石町7-14 
    営業時間/9時~19時 
    定休日/日曜、祝日
    志ほせ饅頭 9個入り 1,188円

      全国にはさまざまな饅頭があるが、初めて小豆餡入りの饅頭を作ったのが創業670年の塩瀬総本家。師祖である林浄因(りんじょういん)が、肉食が許されない僧侶のために、煮詰めた小豆に甘葛の甘みと塩味を加えて餡を作り、皮で包んで蒸し上げたという。
     名物の志ほせ饅頭は、すった大和芋に上新粉と砂糖を加えた皮でこし餡を包んだ薯蕷饅頭。今も昔ながらの手作業だ。生地は水を一切使わず芋の水分だけでまとめ、耳たぶより少し柔らかめに仕上げる。季節によって芋の水分量が違うため、常に同じ味に保つのは職人の繊細なさじ加減だ。
     小ぶりで上品な姿。フワッと柔らかいが、モチっとした歯ごたえもある。甘さを抑えた餡と皮が調和し味わい深い。芋の厳選はもちろん、小豆は北海道音更(おとふけ)町産と素材への吟味も怠らない。同店には「材料落とすな、割り守れ」という言葉があるとか。天候不順などで材料が手に入りにくいときでも、安易に代替品に頼らず、塩瀬に代々伝わる割合を守るという教え。信念が息づく一品である。