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ふるさとの銘菓

    ふるさとの銘菓

    全国の郷土のお菓子を紹介。実際に食べての味わいや食感、歴史や開発秘話も。
    ※2019年10月の消費税法改正法等により、料金が変更になっている場合ございますので、店舗に確認の上、ご利用ください。

    第88回 伝説干菓御井(みい)(滋賀県大津市)

    2024/02/26
    大津菓子調進所 鶴里堂(かくりどう) 
    ご注文・問い合わせ 
    TEL077-523-2662
    滋賀県大津市京町1-2-18 
    営業時間/9時〜17時 
    定休日/日曜
    伝説干菓御井(25個入り) 1,620円

      滋賀県大津市、琵琶湖南西部に位置する園城寺は天台寺門宗の総本山として、三井寺の名前で親しまれている。1200年以上の歴史を持ち、ユネスコの「世界の記憶」にも登録されているこの寺に代々菓子を納めてきた御井 鶴里堂は、明治29年に創業した大津菓子の名店だ。
     「京都に近い大津は昔から菓子職人が多く、東海道の最後の宿場町としてにぎわいを見せていました」。4代目当主の栢口智司さんはこう話す。30年前に考案された干菓子「御井」は三井の晩鐘伝説にちなんで名付けられた。琵琶湖に住む龍と人間の間にできた子どもを育てるため、自らの目玉を与え盲目となった母龍が子の無事を知らせるよう、寺の鐘を叩いてほしいと願ったという。龍の目玉をかたどった5色の和三盆は口に含むと上品な甘さが広がる。阿波の和三盆と吉野葛をベースに桂皮や梅肉、抹茶でほんのり味を加えた繊細さは、お茶の味も引き立ててくれる。小さな菓子に込められた伝説は、今も大津の人々の心に刻まれている。