第4回 秋バラ

2023/10/28

  •  芳しい香りとあでやかな姿で古今東西の人々を魅了してきたバラ。チベットや中国雲南省、ミャンマーを主産地とし、中近東、ヨーロッパ、極東、北アメリカへと伝播した。歴史を紐解けばクレオパトラやローマ皇帝ネロなどバラに魅せられた偉人も多い。日本にもノイバラ、テリハノイバラ、ハマナスといった原種が存在し、江戸時代までには中国から渡来したモッコウバラやコウシンバラが栽培されていた。
     横浜のイングリッシュガーデンは日本の育種家によるバラを多くコレクションしている。ガーデナーの黒田智史さんによれば「日本のバラ育種家の先駆者である鈴木省三氏が1950年代に作出した『よろこび』や『天の川』、最近では、木村卓功氏が作出した『マイローズ』『シェエラザード』なども見ることができます。当園のスーパーバイザー河合伸志が2005年に作出した『禅』(写真)は日本の庭園にも合うようにと作出した品種です」。
     バラは春と秋の2回楽しめる。秋は春に比べて開花品種は減るが、花の質は格段に上がると黒田さん。「秋は夜温が低くなり、蕾の状態からゆっくり開花するため、色は鮮やかで香りも高いのが特徴。品種本来の色合いを楽しむには秋がおすすめです」。10月下旬から11月初旬にかけて見頃を迎える秋バラ。古の人々が愛した高貴な姿をその目に焼き付けたい。
横浜イングリッシュガーデン

TEL045-326-3670 横浜市西区西平沼町6-1 tvk ecom park内 営業時間/10時〜18時 ※時季により異なる 入園料/大人700円〜ほか ※詳細はHPで確認を 相鉄線平沼橋駅から徒歩約10分 https://www.y-eg.jp