第7回 初体験の「寒流」はやはり冷たかった

2008/12/21

飛鳥はパナマ運河を通過、いよいよ太平洋に入り、南太平洋の島々を巡り始め、日程も20日を残すのみとなりました。順調な航海が続いています。パナマ以後、南米西岸には、各種のオプショナルツアーが用意されており、大きく分けて、インカ文明の遺跡系と自然・動物観察系です。我々はマチュピチュやクスコはあきらめて、ガラパゴス諸島とイースター島のコースを選択しました。

船が、パナマ→カイヤオ(リマ)→イースター島と航行する間に、カイヤオで下船、空路でリマ→キト(エクアドル)→ガラパゴス→キト→サンチャゴ(チリ)→イースター島。6泊して7日目に飛鳥と合流という経路です。長時間の飛行機が耐えられなくなって船で来たのに、ここで合計なんと11000kmもの空路とは!!

■パナマ運河‥‥やはり、人類の偉業の一つでしょう。何と言っても大西洋・太平洋それぞれの側の3段の水門の開閉によるドックの水量の満減で巨大な船舶を山越えさせる周到な仕掛けの成功と、酷暑、高湿度、熱帯病と戦って分水嶺を掘削して水路を造った大土木工事に感銘を受けました。今回私が「ああ、そうか」と思ったのは、そのドックに注入する多量の水についてです。船を上昇・下降させる「水」は海に出て行ってしまうのですから、何処から補給されるのか、又、その動力は?と疑問に思っていたのですが、謎は簡単に解け、この運河の立地が、単に陸の幅が狭く、標高の低い立地のみならず、周囲に熱帯雨林を控えている事も大事な要件だったのです。つまりこの水は、運河建設と同時に近接して造られたダムによる人造湖(マテン湖)から自然落下で給水され、その湖の水は周囲の熱帯雨林から供給され、又その熱帯雨林に降る雨は、付近の大西洋中部・カリブ海が世界でも有数の海水の蒸発の激しい海域だそうで、その雲が降らすという輪廻となっているのです。つまりこの地域は、雨不足で運河が機能しなくなるような心配が無いのですね。ついでに言えば、アマゾン河の大西洋に排出する水量は毎秒25万トンだそうで、瞬く間に大西洋が溢れてしまいますものね。目に見えない「蒸発」の量の膨大さに驚かされました。(参考:利根川300トン/秒。ミシシッピ川6万トン/秒だとか)

■フンボルト海流‥‥パナマから太平洋に出た飛鳥は、南米大陸沿いに南下を始め赤道を横断しました。インド洋で体験した赤道無風地帯です。どなたかが、パナマを出てからひどく揺れたとの事でしたが、それはメキシコ沿いに北上したのでしょう。南米西岸には南極から赤道方向に向かって北上する巨大な寒流があり、フンボルト海流(又の名をペルー海流)と言い、飛鳥はその海流に逆行し始めました。私は「寒流」なるものを身近に体験するのは初めてです。暇があるとデッキで裸で寝転ぶのですが、赤道直下、太陽はじりじりと照りつけているのに、風が冷たくて椅子を風の当たらないところへ移動させないと寒くて居られません。これはインド洋、大西洋では無いことでした。

■キト‥‥ガラパゴスへの往復はエクアドルの首都キトに一泊します。エクアドルとはスペイン語で赤道のことだそうで、首都キトもガラパゴスも、ほぼ赤道上にあります。しかしキトの標高は約2860m、人口140万、朝夕人々はセーターにコートという服装です。(世界の国の首都の標高第2位。1位はボリビアのラパスで3700m、人口70万)キト郊外に赤道記念塔があり、北緯、南緯0度を示してあり、塔の前後に赤道を示すラインが鋪裝上に引いてあるのですが、このラインは赤ならぬ黄色のペンキでした。 観光客が(私も)それを跨いで写真を撮り合っていました。

ではまた。