2019年に男女共学化してから丸7年を迎えた桐蔭学園中等教育学校。この春、「共学2期生」たちがそれぞれの夢に向かって羽ばたいていった。7年前に本格始動した新カリキュラムはどのように機能し、大学進学へとつながったのか。そして今後の新たな取り組みについても、玉田裕之校長に伺った。
主体的に学ぶ力を育み、納得の大学進学へ
桐蔭学園中等教育学校では6年間かけて、どんな学びができるのでしょうか?
教育ビジョン「自ら考え判断し行動できる子どもたち」のもと、「6年間のロードマップ」に基づいてプログラムを実践しています。その柱が、「アクティブ・ラーニング型授業」「探究」「キャリア教育」。この3本柱による学びを6年かけてじっくりと発展させ、完成期を迎えるころに大学受験勉強が始まる、というのが本校の強みです。
まず、「アクティブ・ラーニング型授業」について教えてください。
すべての授業を「教員の講義→グループもしくはペアワーク→1人でふり返る」という流れで行います。授業の核となる部分は教員が教えるのではなく、生徒たちがワークを通して自ら考え、気付いていく方法です。これによって思考力や表現力、質問力、さらには「自ら学ぼう」とする主体性が生まれます。生徒が自発的に学ぶようになったら、学力も伸びないわけがありませんよね。
2つ目の柱「探究」ではどんな課題を掘り下げていくのですか?
いかに課題を設定するかが、一番のポイントです。1年生では身の回りのこと、2年生では横浜市青葉区、3年生の「グローバル探究」では世界、というように徐々に枠を広げながら、自分の気になる課題を掘り下げていきます。3年生では一人ひとりがどこかの国の「大使」に任命されます。そして秋冬に開催される「模擬国連会議」に向け、担当国の理解を深めていくのです。4、5年生になるころには自分の力で課題を見つけられるようになり、総仕上げとして論文を執筆します。
最後、3つ目の柱は「キャリア教育」ですね。
人生を主体的に組み立てていく力を育むのがキャリア教育。その一環として、1〜6年生まで毎朝「1分間スピーチ」を行います。スピーチの主語は常に「私」なので、自身を見つめる機会になり、自分の言葉を使って人前で話す演習にもなります。そうしたトレーニングを積み上げ、集大成となるのが5年生3学期に行う「プレゼン型三者面談」です。進路に関する面談ですが、ここで生徒は保護者と教員を前にして、探究で知った社会の課題や自分の個性、社会で果たしたい役割について語ります。「だから私は〇〇大学の〇○学部を受験したい」とプレゼンし、大人たちを納得させるんですね。これがしっかりできる子たちは大学受験に強いですよ。もっと言えば、「人生100年時代」といわれる今、人生のウェルビーイングにつながるのではないでしょうか。
実際、卒業後の進路はどのような状況ですか?
大学受験に関していえば、競争意識をあおるような従来型の受験指導をしていたころよりも、いい結果が出ています。難関大学や医学部への進学率が伸びていますが、それ以上にうれしかったのは、生徒たちに「勝ち組負け組」みたいな意識が最後まで芽生えなかったこと。第一志望でなかったとしても、プレゼン型三者面談で話した、将来「ありたい自分」が明確なので、そこに通じる進学先なら「成功した」と思えたようです。将来の夢も、産業獣医師、地方公務員、パイロット、研究者など多様。「どんな意見や選択にも等しい価値がある」と皆が認め合える、本校の校風にも通じる気がします。自分のやりたいことを仕事にしながら、社会の課題解決にもつながっていける。そんな子どもたちが、今後、日本各地や世界へと羽ばたいていくのが夢ですね。
最後に、これからの桐蔭学園中等教育学校について教えてください。
今後はAIを使いこなす能力がますます求められる時代になっていきます。本校でも1年生からChromebookを使い、探究の授業で積極的にAI教育を取り入れていきます。その一方、AIの進化でより重要になってくるのが、リアルな体験。幸い本校は自然に恵まれており、敷地内には手つかずの里山がある。今後はその中に生徒たちが入り、彼らのアイデアでいろいろな活動を行う「里山プロジェクト」を進めていきたいと考えています。2027年の「国際園芸博覧会」での発表も目標にしたいですね。これからも生徒が主役となる学校づくりを続けていきたいと思います。

緑あふれる広々とした里山キャンパスで、のびのびと6年間を過ごすことができる。

この4月に「里山プロジェクト」がスタート。大自然を舞台とした「学校づくり」は生徒が主役となって進んでいく。

桐蔭学園中等教育学校
6年間のロードマップ
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取材協力:桐蔭学園中等教育学校
横浜市青葉区鉄町1614
TEL 045-971-1411(代表)
http://toin.ac.jp/ses/


