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おさんぽ通信

    第26回 よみうりランドを歩こう!

    2007/01/19
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    1. 入園口
    2. さくら並木
    3. 聖地公園入口
    4. 芝生の広場
    5. 妙見堂

    6. 八祖師像
    7. 聖門
    8. よみうりランド植物園
    9. 屋外展示物
    10. 鉄橋

    おさんぽ記

    「よみうりランド」は東京オリンピックが開催された昭和39年(1964)に開園。当時はモノレールや人工スキー場、水中バレエ劇場などの施設があり、現在、夜になるとライトアップされる丘の上の塔はスキーのジャンプ台に利用されていたものという話。入園口(1)から広大な園内を見渡すと、ん? あれは何かな? と思わせる建築物がほかにも見つけられます。

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    最高時速110kmのジェットコースター「バンデット」がゴトゴトと軌道を上って行くのを眺めながら、子ども向けの乗り物が集められたエリアへ。おとうさんおかあさん、おじいちゃんおばあちゃんに手を引かれて乗り物に揺られる子どもたちは、初めこそ緊張していても、あっという間に表情を輝かせ始めます。陽気な音楽に耳を傾けて、ゆっくりとまわる大観覧車を眺めていたら、心がいつしか浮き立ってきました。

    よみうりランドには桜の木が数多く植えられ、春にはジェットコースターやゴンドラに乗ってお花見できるのが、ここならでは。さくら並木(2)がつくる花のトンネルを歩くのも気持ちがよく、桜見物を目的に入園する人々も珍しくないほどです。

     「アシカショー」が行われる建物のそばで、アウッアウッとアシカの鳴き声が聞こえてきました。豪快なジャンプや輪投げなどの妙技が披露されるショーは開始まで時間があるため、まだ閉まっています。が、入口の方へ向かう1組の夫婦。目で追って行くと、そこには「聖地公園入口(3)↓」とありました。

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    細い通路を進むと、頭上を先ほどのバンデットがガラガラガラガラと、ものすごい音をたてて走り抜けて行きます。スロープを上ったところはベンチがある広場。ぐるりと梅の木に囲まれていることに気がつきます。

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    コイが泳ぐ池、広い芝生の広場(4)のまわりに伸びる散策路にも梅の木。すでに寒紅梅が咲いていて、甘い香りがぷ〜んと漂っています。春の訪れを感じて、元気よく上り階段へ。美しく整えられた日本庭園を行くうち、入園口から見えた白い建物が目の前に迫ってきました。この釈迦如来殿(パゴタ)はスリランカの寺院を模して造られたもの。釈迦の仏舎利と聖髪が納められ、とくに聖髪は日本で奉祀されているのはここだけだそうです。

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    赤いお堂は妙見堂(5)。昭和25年(1950)に重要文化財に指定された鎌倉後期の「妙見菩薩像」が祀られ、きらりと光る目が印象的。社務所で妙見像が描かれたおみくじを50円で引き、しばし立ち話。「妙見堂では毎月22日前後に、安全祈願のほか、縁結び、安産、商売繁盛、開運のご利益を授かる祭典『月並祭』が行われています。毎年5月と10月には『大祭』もあり、お神楽が奉納されるんですよ。どうぞ気軽に来てくださいね」。

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    階段下へ移動して見た「聖観音菩薩像」は平安前期に一本の檜で彫られた木造立像で、こちらも重要文化財。観音堂の前には仏教八宗を開祖した八祖師像(6)、狛犬に迎えられた先には室町前期に建てられ、京都御所から移築された聖門(7)がありました。「初めて来たけど、これだけの文化財があるとは知らなかったねぇ」と、カメラを持った男性も驚いています。

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    散策路は花壇に白いプレートが並ぶ一画へ。プレートにはそれぞれ「ミヤコアオイ 奈良県産」「スズカカンアオイ 三重県産」「コシノカンアオイ 新潟県産」「タマノカンアオイ 川崎市産」……、そして「よみうりランド植物園(8)」と書かれてあります。庭園内にはツツジやシャクナゲなども多種多様に植えられていて、梅や桜だけでなく、見ごたえがありそうです。

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    植物園を背にした上り坂に、なにやらガラスケースの屋外展示物(9)。ドイツ政府から寄贈された「オウム像」、2000万年前の樹木の化石「珪化木」、ペルー政府から寄贈された「インカ帝国の石彫」、2〜4世紀頃に造られた「ガンダーラ彫刻」。「ふ〜む、先ほどの文化財とはまた趣が異なる。よみうりランドはなんとも奥が深い」と一人ごちながら、梅が花開く散策路を帰ります。アシカショー脇の通路から抜け出ると、バンデットのガラガラ音が耳に飛び込んできて、とたんに現実の世界に引き戻されたような気がしました。

    おさんぽクローズアップ!!

    「よみうりランド 第32回梅祭り盆栽展」

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    2007年2月25日(日)〜3月4日(日)、よみうりランド内の特設植物展示場にて開催。梅はもちろん、約60鉢の盆栽が展示され、春の穏やかなひとときを過ごせます。
    2月24日(土)〜3月4日(日)には、毎年恒例の高齢者招待を実施。本誌「RICHE」3月号を1部持参すれば、60歳以上の高齢者1名とその同居家族は入園無料になります。
    入園口にて、「RICHE」3月号と医療証など(60歳以上であることを証明できるもの)を提示してください。


    ■ 044-966-1111
    ■ 稲城市矢野口4015-1
    ■平日・土曜10時〜17時、日曜・祝日9時〜17時(時季によって異なる)
    ■ 火曜休(梅祭り期間中は営業)
    ■ 入園券 18歳〜59歳 1600円 / 3歳〜高校生・60歳〜 800円
     ワンデーパス(入園+アシカショー+のりもの乗り放題)
     18歳〜59歳 3900円 / 60歳〜 3900円 / 3歳〜高校生 2900円

     ※ 平成19年(2007)1月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。
    取材・文/森田奈央 

    森田奈央

    日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。