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おさんぽ通信

    第48回 鶴川駅~三輪緑山を歩こう!

    2008/10/31
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    1. 鶴川駅南口
    2. 小野路の野菜直売コーナー
    3. 岡上神社
    4. 三輪南遺跡
    5. ケヤキ通り

    6. 椙山神社
    7. 高蔵寺地蔵堂
    8. 白坂横穴古墳群
    9. 高蔵寺

    おさんぽ記

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    すっきりと晴れわたった秋空のもと、再びやってまいりました、鶴川駅。今日は南口(1)を出たらすぐに鶴見川沿いへ。前回のおさんぽ通信 第47回鶴川駅〜大蔵町を歩こう!で話に聞いたスッポンはいないかねぇ〜? と、川の中をのぞきつつ、遊歩道を行きます。

    睦橋の左手に野菜直売所。その奥の畑には赤、白、紫、黄色の小輪の菊が咲き、「菊の販売いたします」「肥後菊販売」と書かれた看板が立っています。秋の花 といったら、やっぱり菊! 畑の中でゆっくりと観賞させてもらいたいなあと、畑の人を探しましたが、残念、だれもいません。

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    睦橋の右手にも野菜直売所。こちらには小野路の野菜直売コーナー(2)と書かれ、ちょっとトロピカルなかわいい飾り付けがされています。さらに目を惹いたのは、天井につけられた蛍光灯。なるほど、これがあれば、夜でもお買い物が楽しめるわけです(?)。

    岡上跨線橋の下では川の流れを部分的に堰き止め、河床を整備中。ショベルカーが置かれているのを見て、道路と同じように川も修繕されるんだなあ と、ぼんやり考えます。交通量の激しい道路「真光寺長津田線」に歩を進め、岡上神社(3)へ。境内の日だまりの中で静かに石塔と向き合います。

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    トラックやバスが追い越していくときの風圧を首筋に感じながら、急ぎ足で進んだ左手に遊歩道。胸をほっとなで下ろします。落ち葉をがさっがさっと踏む音が耳に心地よく、わざとざっざっ、がさっがさっがさっ。目の前にこんもりとした芝生広場が現れました。

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    ここは奈良時代と平安時代の集落跡三輪南遺跡(4)。住居は地面を掘って建てられた竪穴形式で、柱の穴とかまどの跡が残されていたといいます。瓦を焼いて いた工人たちの住まいと窯であり、瓦はここより北東500メートルにあった「岡上廃寺」に供給されていたと考えられているそうです。

    三輪緑山住宅中央入口交差点を左折すると、けやき通り(5)。スーパーや郵便局、公園が並んでいるのはさくら通りです。数本の桜の木にプレートが掛けら れ、「イチヨウ」「カンザン」「フゲンゾウ」の文字。後で調べたら、どれもヤエザクラの品種名で、開花はソメイヨシノより遅い4月中旬〜下旬。いまはどの 木も丸裸です。

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    ゆりの木通りでは、学校帰りの小学生が元気よく「こんにちは!」。すがすがしい気持ちで三輪小学校の前を通り、椙山(すぎやま)神社(6)へ。 大和国の三輪の里(現在の奈良県桜井市三輪町)に鎮座する三輪神社のご神体「三輪山」に、このあたりの山容が似ていたことから、元慶元年(877)に勧請 されたと伝えられている神社です。

    ここから歩いてすぐの高蔵寺地蔵堂(7)は、享保18年(1733)に開山。明治元年(1868)までは高蔵寺末寺の正善寺で、「現在は高蔵寺 の別院です」とお寺の方。高蔵寺といえば、おさんぽ通信 第18回柿生駅〜三輪町を歩こう!で訪れた「東国花の寺百ヶ寺」のお寺。いまの季節は何か咲いて いるのかなと、来た道を戻って、行ってみることにしました。

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    小学校の前に、先ほどは気づかなかった「椙山神社北遺跡」の案内板。「開校に先立って発掘調査をしたところ、縄文時代の土器、弥生時代や古墳時代の住居址 などが見つかった」と書かれています。三輪南遺跡に引き続いて、この場所に遠い昔々から人が住んでいたんだと思うと、なんだか不思議な気分。オレンジ色の 夕陽に染まった大きな木を見上げます。

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    細いくねくね道で見つけたのは、白坂横穴古墳群(8)。昭和34年(1959)、10数基あるうちの2基が発掘されたそうです。少し進んだ先の 竹林には「三輪の里は奈良県桜井市の三輪山です。今日その情景をとどめているのはこのへん一帯です」と書かれた看板。徐々に視界が開けてくると、雑木林と 畑が連なる里山の風景が広がりました。

    夕闇が迫る中、ようやく高蔵寺(9)に到着。境内に一歩足を踏み入れて、おぉ〜っとおもわず声をあげたのは、木々に雪吊りが施されていたから。 時は晩秋。冬は着々と近づいてきているのです。じわじわと寒くなってきた駅へ戻る道で、暗闇の中にぽっかりと浮かび上がる1つの灯り。それは鶴見川沿いで 見つけた、あの野菜直売所の蛍光灯! 心にもぽっかり灯りがともりました。

    おさんぽクローズアップ!!

    「見星山 三輪院高蔵寺」

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    600年以上の歴史を誇る古刹。ご本尊は大日如来。「東国花の寺百ヶ寺」(関東1都6県の花をご縁とした寺院によって構成)の1つとして有名です。

    境内は約6000坪。春から夏にかけてはボタン、シャクナゲ、シャクヤク、ショウブ、ハス、サルスベリが咲き、秋は紅葉がみごとです。

    11〜1月は寒ボタン300株、12月下旬〜ロウバイ20株が見頃になり、雪吊りは3月まで行われています。風情を味わいながら、おまいりするのもよいでしょう。

    どの季節に訪れても美しい庭が迎えてくれるので、「癒しの寺」として散策する人も絶えません。

    ■ 町田市三輪町1739

       ※ 平成20年(2008)11月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。

    取材・文/森田奈央 

    森田奈央

    日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。