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おさんぽ通信

    第47回 鶴川駅~大蔵町を歩こう!

    2008/10/01
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    1. 鶴川駅北口
    2. 川崎二号水道
    3. 鶴川駅前2号緑地
    4. 鶴見川

    5. スッポンの話を聞いたところ
    6. お地蔵さま
    7. 春日神社
    8. アグリハウス

    おさんぽ記

    鶴川駅北口(1)の「鶴川駅北土地区画整理事業」は平成19年3月に完了。新しくなった風景も街にすっかり馴染んできました。小ぎれいな飲食店がずらりと並び、学生やベビーカーを押したお母さんたちの姿が目立つ駅前。まぶしく輝いていて、にぎやかです。

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    鶴川街道(世田谷町田線)に出て、西へ歩き始めます。大型マンションに挟まれた空き地を見つけ、ここは何になるのかな? 看板には「公共施設建設予定地」とあります。後で町田市のホームページを見ると、演劇や音楽を楽しめるホール、図書館、コミュニティ施設などが建設される予定とのこと。鶴川の新たなスポットとして注目を集めるでしょう。

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    インターネットでプリントして持ってきた地図を見ていて気になったのは、鶴川街道沿いの「川崎二号水道(2)」という表記。これは何かな? と、またまた後で町田市に問い合わせると、相模ダムを水源地として津久井分水池から川崎市宮前区の潮見台浄水場へ水を送る導水管が地下に埋まっているとの話。小野路町の北には「川崎一号水道」が通っていて、こちらは多摩区三田の長沢浄水場へつながっているそうです。へぇー、知らなかった!

    通りを左に曲がり、次に見つけたのは「町田市立鶴川駅前2号緑地(3)」。ロボットやロケットみたいな名前で、導水管に2号はあっても緑地に2号はあり? と思ったら、公園や緑地が整備計画される際にはよく1号、2号……と仮称され、完成時にその地域に合った名称などに変更されることが多いとか(この緑地はなぜか2号のままですが)。そして、2号があるなら1号もあるはず! と行けば、60〜70メートル歩いたところで発見。ジンチョウゲやアジサイなどが植えられ、おだやかな景観が形作られています。

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    住宅街のくねくね道を進み、鶴見川(4)にたどり着きます。川底は低いところにあり、水量は多くありません。中州に3羽のカモがいて、流れにのってやってきたカモと体の大きさを比べると、ふたまわりほど小さい感じ。もしかすると親子かもしれません。川沿いの遊歩道の途中には水際まで下りられる幅広の階段があり、水量によっては川遊びができるようです。水の中を覗き込むと大きなコイが何匹もゆらゆらと泳いでいました。

    「鶴見川にスッポンが棲んでいるのよ」と話してくれたのは近所のおかあさん。「卵が孵ってね、ウチで子どもを3匹あずかっているの。小さくて甲羅がやわらかくて、川に放したら鳥やコイに食べられちゃうだろうって上野動物園の人に教えてもらってね。1年くらいたって大きくなったら帰そうと思っているの。スッポンの子、見に来る?(5)」。願ってもないお誘いに、ほいほいとお邪魔します。

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    「10数年前まで庭の塀の外側にすぐ鶴見川が流れていてね、大水が出ないように改修されてから、遊歩道ができたの。いまも自然が残されているところだけど、以前はタヌキが子どもを連れてウチに来ていたこともあったのよ」とスッポンの子、それから、おかあさんスッポンとおかあさんタヌキの写真を見せてもらいながら、庭先でおしゃべり。「あっ、今朝、知り合いの農家で柿を穫ってきたの。おやつにでも食べて」。枝つきの柿を4個いただきました。

    鶴見川の両側に続く遊歩道を、橋を渡りつつ右岸、左岸と行きます。次の水際への幅広階段では男子学生がトロンボーンを練習中。高い建物がなく、青空が視界いっぱいに広がる川べりの空間に「♪雨に唄えば」が響き渡っています。

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    関山橋を渡ると緑に囲まれた坂道。上ってみると、曲がり角に2体のお地蔵さま(6)が立っています。洗濯物を取り込んでいたおばあちゃんにお地蔵さまの由来を聞いてみましたが、「私もわからないのよねぇ」。代わりに「そこを右に曲がって、すぐに左に曲がって、また左に曲がって下りていくと春日神社があるわよ」と教えてくれました。

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    春日神社(7)は宝永4年(1707)、奈良の春日大社の御分神を勧請して創建。参道に並ぶケヤキは見上げるとおもわず息を呑むほどの大木です。本堂の前で迎えてくれるのは一対の狛犬のほかに、一対の随身像(随神像)。随身とはお雛様の右大臣、左大臣のように高貴な人を守る人のこと。神社で神様を守る像も随身と呼ばれ、町田市で随身像が安置されているのはここ春日神社だけだそうです。

    春日橋を渡って、1つ目の交差点を右折。左側にアグリハウス鶴川(8)が見えてきました。ふらりと寄って驚いたのは、鶴川産の野菜や果物が数多く揃えられていること。ジャガイモ、サトイモなどの芋類、コマツナ、チンゲンサイなどの葉物、リンゴ、ミカンなどの果物もすべて地元産。どれもこれも新鮮なものばかりです。

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    鶴川という街はスッポンが棲み、さまざまな作物が収穫される自然豊かな街なんだなあ……と思いながら鶴見川沿いを戻っていくと、またもや1号と2号にバッタリ! 今度は秋の夕暮れの空にすっくとそびえる鉄塔に「京浜線1・2号」の看板。これはこれはもっと探したら、鶴川にはほかにも1号、2号が潜んでいるかもしれません。

    おさんぽクローズアップ!!

    「アグリハウス鶴川」

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    JA町田市の農産物直売所。毎日、鶴川周辺の生産地から収穫されたばかりの安全で安心な野菜や果物などが販売されています。

    季節によって種類は変わりますが、おさんぽした日には隼人瓜(はやとうり)、ずいき、甘長唐辛子、糸瓜(ヘチマ)など、一般スーパーではそれほど多く売られていない野菜がたくさん。冬瓜(とうがん)、ゴーヤ、赤唐辛子・青唐辛子、ささげ、生しいたけなども鶴川産のものが手に入ります。 町田市で生産されているタマゴ、牛乳、ヨーグルト、アイスクリームなども人気で、開店の10時には入口に列ができているとか。早めにでかけるのがおすすめです。

    ■ 042-736-1346

    ■ 町田市大蔵町438-1

    ■ 10〜17時(10〜3月)、10〜18時(4〜9月)

    ■ 無休

      ※ 平成20年(2008)10月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。

    取材・文/森田奈央 

    森田奈央

    日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。