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おさんぽ通信

    第2回 ヨネッティー王禅寺~琴平神社を歩こう!

    2005/02/15

    1. ヨネッティー王禅寺
    2. レストラン・カーティスレイク
    3. 奇木
    4. 山王社(日枝神社)
    5. 竹林の道

    6. 石仏群
    7. 山王山延命地蔵尊
    8. 王禅寺ふるさと公園
    9. 星宿山王禅寺
    10. 武州柿生 琴平神社

    おさんぽ記

    今回の出発点はヨネッティー王禅寺(1)。1年中泳ぐことができる温水プールがあり、25メートルプール、流水プール、ウォータースライダーと設備が充実しているうえに、基本料金は1時間大人1人300円、子ども100円と安い! 今度ゆっくり遊びに来たいなと思いつつ正面右手の坂を下ります。左に見えてくるのは王禅寺処理センターの煙突。温水プールはここの余熱を利用しています。

    フィッシングクラブ「FISH・ON!王禅寺」の看板を左へ。門を入っていくと、目の前に大きな池が現れ、おもいおもいに釣り糸を垂れる人々の姿があります。池の周りは危険なため、釣り人以外は立入禁止。しかし、クラブハウス併設のレストラン・カーティスレイク(2)は知る人ぞ知る穴場のレストラン。テラスから景色を眺めながらの食事は格別です。

    先ほどの道へ戻り、緩やかな坂をさらに下っていきます。道路から見渡すこのあたりは以前、田んぼが広がっていたのでしょう。あぜ道がその痕跡を残し、山際 には立派な家がぽつんぽつんと建っています。かつての風景を思い起こさせる場所ですが、車やトラックの往来が激しいため、右側の静かな路地へ。まるで這い 出してきたかのような格好の大きな奇木(3)を見つけ、その力強い姿に目を惹きつけられます。

    日吉ノ辻の交差点を左へ進むと、木々のあいだに鳥居が見えてきました。108段の石段を一気に上り、息を切らしながら境内に到着。小さなお堂の傍らでおじいさんが一人、落ち葉掃除をしていました。この山王社(日枝神社)(4)は、立て看板『川崎歴史ガイド』によると「王禅寺の鬼門除けに建立。王禅寺村の鎮守五社の一つで、日吉谷戸の鎮守として近郷の人々に深く信仰された」もの。「階段を上ってきたの? 坂道があったのに。散歩の人はそっちをよく歩いてきますよ」。見ると、素敵な竹林の道(5)が続いていました。

    日吉谷戸の人々が信仰していたものがもう一つ、道路脇の草むらに集められています。ここにも立てられていた看板『川崎歴史ガイド』を見ると、「村境の石仏群」(6)とあり、「民間信仰によって谷戸の連帯を強めていた日吉の人々の信仰行事のシンボル的存在であった」と書かれていました。

    少し行ったところに、山王山延命地蔵尊(7)があります。ここは昭和32年に開園した動物霊園。本尊とする延命地蔵尊の周りには、卒塔婆が立ち並ぶ犬や猫のお墓が広がっています。供えられた花々には飼い主たちのペットへの愛情が強く感じられ、おもわず胸が詰まりました。

    さて、丘陵地の自然をそのままにいかした面積8.5ヘクタールの王禅寺ふるさと公園(8)へ行ってみましょう。「朝は散歩やジョギングをしている人が多いですよ。林の中は遊歩道が敷かれていて、四季折々に咲く花が楽しみですね」と、見晴らし広場のベンチでくつろぐ夫婦。遊歩道を行くと、「タヌキやキジ等の 野生動物が生活しています」「赤まむし発見!!」の看板。身近な場所に残された自然を実感します。

    星宿山王禅寺(9)は孝謙天皇(在位749〜758)の頃に始まる古刹。本堂の前に禅寺丸柿の原木があり、「柿生」の地名の起こりとされています。由緒があるため散策に訪れる人も多いのですが、最近は立入禁止の場所に足を踏み入れたり、草花を持ち帰ったりする人がいるとか。静かにお参りし、その場にただよう雰囲気を楽しみたいなあと思いました。

    王禅寺を後に住宅街を10分。今度は60段の石段を上ります。たどり着いたのは武州柿生 琴平神社(10)の本殿です。境内には、我慢することで物事の貫徹を願う「がまんさん」の手水舎があり、その向かいにはなぜか、かわいいリス型の遊具。ちょっと不思議な光景でした。

    交差点を渡り、朱塗りの大鳥居をくぐると、こちらは琴平神社の儀式殿。ここだけはお参りしておかなくちゃと急いで向かったのは弁財天社(銭洗弁財天)。お金を銭洗水で洗うと増えるといわれる殖財の神さまです。すでに周囲は暗くなりつつあり、参拝客もだれもいない境内。ちょろちょろと流れ出る銭洗水でお金を熱心に洗う人影は、もうほかにはありませんでした。

    おさんぽクローズアップ!!

    「レストラン・カーティスレイク」(FISH・ON!王禅寺クラブハウス併設)

    女性グループやカップルの姿が目立つ店内。「釣りの方より、食事のみでご利用されるお客さまのほうが多いですね」とはお店の人。フランスで修行したシェフが作るのはハーブやスパイスをふんだんに使いながら、食材や調理法にアジアンテイストを盛り込んだ創作料理。ランチは日替わりで、Aパスタ料理、 B魚料理、C肉料理、Dピッツアの各セットから選べます。雰囲気がぐっとムーディーになるディナーもオススメ。写真はCランチの鶏モモ肉のコンフィ 豆腐 シーザースソース、自家製シリアルパン、サラダ、スープ、飲み物セットで1000円。美味!


    ■ 044-953-0038
    ■ 川崎市麻生区王禅寺1227-2
    http://www.fishon-oz.jp/
    10:00〜22:00(ランチ11:00〜14:30L.O、ディナー18:00〜21:30L.O、土日祝は9:00〜)第3木曜休

    「武州柿生 琴平神社」

    正徳元年(1711年)以前、「神明社」が祀られた後、文政9年(1826)、四国の金刀比羅宮の祭神を勧請し、「神明社・琴平社の合社」として再建。本殿にはお坊さんと天狗が安座する鳥居や、渡辺華山が描いたと言われる63枚の花鳥山水の神殿天井の板絵などがあり、儀式殿には稲荷社、多賀大社、 塩釜大社の三社、また、弁財天社、恵比須さまと大黒さまの石像などと、見どころ多々。年末年始の茅の輪くぐり、2月の節分、11月の七五三など、多くの参拝客が訪れます。(写真は本殿)

    ■044-988-0045
    ■川崎市麻生区王禅寺東5-46-15(社務所)

    ※ 平成16年(2004)12月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。
    取材・文/森田奈央

    森田奈央

    日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。