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おさんぽ通信

    第41回 読売ランド前駅~稲田堤駅を歩こう!

    2008/04/28
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    1. 読売ランド前駅
    2. モミジバフウ並木
    3. 寺尾台緑地
    4. ハナミズキ並木
    5. 川崎市農業技術支援センター

    6. 薬師堂
    7. 長松寺
    8. 安藤農園
    9. 稲田堤駅

    おさんぽ記

    春本番でぽかぽか陽気の中、やってきました小田急線読売ランド前駅(1)。商店街にうららかな日差しが降りそそぎ、少し眠たげなゆったりとした時間が流れています。

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    踏切を越えて津久井道を横断。女子大通りへ進み、坂を上っていきます。ビル1階にある駐車場にひゅーんひゅーんと飛び交うツバメ。駅からそう離れていないのに、たぬきマークの標識「動物注意」が立っているのにも目が惹かれます。

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    寺尾台住宅入口交差点を右折すると、モミジバフウ並木(2)。秋の紅葉が美しく、街路樹として人気が高い木です。枝の先から新しい黄緑色の葉がたくさん出始めていて、すがすがしい眺め。幹の割れ目から顔をのぞかせている若葉たちも初々しいばかりです。

    市認可保育園「第二厚生館愛児園」の角を曲がり、住宅街へ。緑に囲まれた一軒家が連なり、さわさわと葉が風に揺れる音が聞こえてきます。着物姿のおばあちゃんが下駄を鳴らしながら家のまわりをほうきで掃き掃除。カランコロン、サッサッサッ、カランコロン、サッサッサッと繰り返し耳に心地よく響いてきます。

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    ユリノキ並木に沿って広がる寺尾台緑地(3)。通りと緑地の境には高さ40〜50センチの網が張られています。「サクラの落ち葉が緑地から出ないようにね。秋はユリノキの落ち葉とダブルで、この通り沿いの家の人は掃除がたいへんなんだよ」と通りがかりの男性。「今年はユリノキの枝を剪定してもらったから、ずいぶんいいと思うんだけどね」。なるほど、花や紅葉が美しい並木道を楽しめるのは、近隣の方たちによる多大な努力と協力のおかげなのです。

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    寺尾台団地と別れを告げる長い下り坂を行き、女子大通りを渡ります。左手に梨園を見ながら階段を上ったところに「JAセレサ川崎 野菜生産者直売所」の幟。販売棚を覗くと、3束のフキと「菅のらぼう保存会々員」と書かれた紙に目がとまります。菅のらぼう菜はおもに多摩区菅で栽培されてきたアブラナ科の伝統野菜。おさんぽ通信 第28回栗平駅〜黒川駅を歩こう!でおみやげに買ったのらぼう菜をおひたしと炒め物にしたら、甘みがあって、とてもおいしかったのを思い出しました。

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    子どもたちの遊ぶ声がにぎやかな菅馬場公園まで来たとき、わぁ! と声をあげたのはおさんぽ通信 第24回読売ランド前駅〜菅馬場〜菅北浦を歩こう!で訪れたハナミズキ並木(4)。満開のハナミズキとツツジを堪能してから、公園と南菅小学校の間を抜けていきます。ケヤキ並木の歩道にはアジサイ。見ごろは6 月中旬くらいかなと考えながら菅仙石3丁目交差点を左折するとイチョウ並木、その先を右折するとサクラ並木。美しい景観が途切れません。


     08年4月1日、試験栽培用の果樹園が広がるフルーツパークが野菜と花の育苗温室や畑を増設し、川崎市農業技術支援センター(5)として新たにオープン。農家向けに農業技術の支援をする一方、今までどおり園内を一般開放。果樹園や熱帯果樹温室、多摩川ナシの資料を展示した展望室を自由に見ることができます。

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    園内を閉園までおさんぽして、さて、どちらへ向かいましょうか。稲田堤駅へは徒歩20分と聞き、サクラ並木、イチョウ並木を逆戻り。星が丘歩道橋のたもとの階段を上って、イロハモミジ並木を行くと西菅小学校。竹林の横の長い階段を下ったら、以前、訪れたことがある薬師堂(6)に着きました。

    学校や会社帰りと思われる人々とすれ違いながら大谷橋を渡り、駅の方向へ。左手に7体のお地蔵さまが並ぶ長松寺(7)を見つけます。向かっていちばん右のお地蔵さまはほかの6体と大きさがちがうことに気づき、どうしてかな? 残念ながら門が閉じられていたので、またの機会に伺おうと、その場を後にします。

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    通りの右側に温室。中をちらりと覗くと植物の苗らしきものがたくさん並んでいます。ここは園芸店なのかなと、左側の垣根の中もちらり。広い敷地一面に苗だらけです。小型トラックに「安藤農園 (8)」の文字。おもいきってピンポーンと訪ねてみます。

    「野草や庭木の苗を生産、卸ろし、小売もしている専門店です。好きな人は1苗1苗じっくりと何時間もかけて見ていきますよ」と、農園の方。サボテンの仲間「巻絹」や葉が開く前は番傘のような形をしている「破れ傘」など初めて見た植物が多く、興味津々。「あれはなんていう花ですか?」「これはおもしろい形ですね?」と見せてもらううちに、いつの間にか日がとっぷり。稲田堤駅(9)に到着したときには、もうあたりは真っ暗でした。

    おさんぽクローズアップ!!

    「川崎市農業技術支援センター(アグリパーク)」

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    大きな熱帯果樹温室ではパパイア、マンゴー、ドリアンなどを育成。ソーセージノキ、ロウソクノキといった名前がおもしろい植物もあります。花や実を見ることもでき、おさんぽ当日はブーゲンビリア、パッションフルーツの花が咲き、バナナとパパイアが実っていました。

    果樹園では5月中旬にキウイフルーツが開花。白い花が人々の目を楽しませてくれるそうです。

    また、試験栽培し、収穫された果物の販売は従来と変わらずに実施。ウメは5月下旬〜、ナシは8月中旬〜、カキは10月頃、ミカンは12月頃に行われる予定です。

    ■ 044-945-0153

    ■ 川崎市多摩区菅仙谷3-17-1

    ■ 9時半〜16時半(9〜3月は16時まで)

    ■ 月曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始休

    ■ 入園無料

    「安藤農園」

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    高山植物、山野草、庭木、水草などの苗を並べます。

    食虫植物や自然界の珍しい植物、希少価値のある珍品植物も揃え、取り寄せも可能。

    突然変異で葉に線が入ったり二種以上の色が交じったりする“斑入り”なども多数あり、貴重だと人気があるそうです。

    盆栽、お茶花のほか、寄せ植え用の軽石鉢なども販売され、育て方についても親切に教えてもらえます。

    ■ 044-944-2984

    ■ 川崎市多摩区菅北浦3-3-8

    ■ 8時〜17時

    ■ お盆・年末年始休

     ※ 平成20年(2008)4月30日にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。

    取材・文/森田奈央 

    森田奈央

    日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。