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おさんぽ通信

    第50回 新百合ヶ丘駅〜新百合山手・新街区を歩こう!

    2009/01/04
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    1. 新百合ヶ丘駅
    2. 麻生区役所の中庭
    3. 石造物
    4. 万福寺おやしろ公園

    5. Vins et Cuisine CEDO (セド)
    6. 万福寺町内会館
    7. 万福寺さとやま公園
    8. 花の木こみち

    おさんぽ記

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    約37ヘクタールの広大な土地に新しい街並を出現させた「万福寺土地区画整理事業」。平成12年(2000)に組合が設立してから約8年の歳月を経て、平 成20年(2008)年秋に解散して完了。豊かな自然環境をいかして整備された美しい街は「新百合山手」と名づけられました。玄関口となる新百合ヶ丘駅の 構内もリニューアルされ、華やかなスタートを切っています。

    新百合山手が広がる駅北口には麻生区役所を始め、麻生市民館や麻生図書館が 入った麻生文化センター、保健福祉センターなどの公共施設が集まっています。便 利な街だなあと歩いていくと、看板に「あさお育ち」と書かれた野菜直売所。泥つきのダイコンやネギ、みずみずしいホウレンソウなどが並べられ、農産物が生 まれる環境も身近にあることを気づかせてくれます。

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    麻生区役所の中庭に 造られた花壇には春の七草。このあたりの地域では七草粥を準備する1月6日の夜に「七草ナズナ 唐土の鳥が 日本の土地に 渡らぬ先に スットトン スッ トトン……」と囃しながら七草を刻む風習があったそうです。スットトンとはなんと楽しげで軽快な囃し声。早咲きの河津桜や玉縄桜のつぼみがぷっくりと膨ら み始めているのを見つけて、心もふわふわ浮き立ちます。

    膨らんだ心がきゅきゅーっとしぼんだのは、麻生消防署の前。中学生が職業体験で はしご車に搭乗し、地上40メートルの高さまで上っていくのを見たからで す。放水訓練や救急処置訓練なども1日かけて体験するとのこと。はしご車から平然とした表情で降りてくる中学生たちに頼もしさを感じます。

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    ガス灯が並ぶ新百合山手中央通りを右折して津久井道を行くと、おさんぽ通信 第19回新百合ヶ丘駅〜金程・千代ヶ丘を歩こう!で 訪れた十二神社。その境内の下に石造物が祀られています。万福寺土地区画整理事業は街並を整備するだけではなく、地域が所有してきた自然や歴史、文化を継 承する街づくりを目指しました。氏神様である十二神社や周辺に点在していた石造物はこれからも大切に守られていきます。

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    雑木林が残されているのは万福寺おやしろ公園。 斜面に黄色のビニール紐で囲われた部分があり、「ヤマユリの里、再生を進めています。新百合山手公園管理運営協議会 麻生まちづくり市民の会 ヤマユリ植 栽普及委員会」と書かれた札が下げられています。かつて、このへんの丘陵地帯に自生していたというヤマユリを植栽し、育てているのでしょう。芽が出て花が 咲く7月頃が楽しみです。

    新百合山手東通りでは、青いシェード、白い壁、赤いドアのトリコロールの外観が目を惹くフレンチレストラン Vins et Cuisine CEDOを発見。新百合山手をおさんぽしているんだもの、ランチもおしゃれにゆっくりと楽しまなくちゃ! と入店。世界で数々の賞に輝くフランス人シェフ がプロデュースした料理と優雅な時間にうっとりとします。

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    再び心ふわふわの足取りで植栽が施された一戸建て住宅を眺めながらいくと、これまた瀟洒な建物。こちらは万福寺町内会館。 ホールではヨガや体操、フラワーアレンジメントなどの教室が行われ、新しい街のコミュニティの場となっているようです。町内の掲示板には新百合山手中央通 りに建つ川崎市アートセンターで上映中のカンヌ映画祭出品作品のチラシ。なにやらこの街では上質な毎日を送ることができそうです。

    緑のシートに覆われているのは工事中の大型マンション。土地区画整理事業は完了したものの、街はまだまだ発展中なんだと実感します。また、公園や緑 地が多い新百合山手はこれから緑の景観を維持していくことが必要です。街づくりは土地や建物が完成すれば終わりではなく、人々が移り住んでからがいよいよ 本番! なんだろうなあと考えます。

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    街がきれいになってよくなったよね。この公園は雑木林の一部を残して散策路が造られたんだよ」と笑顔で話してくれたのは、万福寺さとやま公園で掃除をして いたお父さん。「2年前に完成したときから掃除しているんだ。斜面から土が崩れて流れ出ているのを抑えるために竹垣もめぐらせたよ。まあ、ボランティアで ね」。お父さんは地域の方。きっとこの街をよい街にしたいという思いから活動されているのでしょう。

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    芝生の遊歩道を歩き、眼下に広がる新百合山手の街並を見渡します。一戸建てが続く新百合山手西通りへ進み、花の木こみちに 到着。と、犬と散歩中のおばあちゃんが花壇のゴミを拾っています。なるほど、街はそこに関わっている人々の意識によって変化していくもの。先ほどのお父さ んやこのおばあちゃんのように一人一人が街を大切に思う気持ちがあれば、春には美しい花が咲きあふれるでしょう。自分が住んでいる街も大切に誇りを持って いきたいものだなと思いながら、駅へ。新百合山手中央通りのガス灯とイルミネーションがきらきら輝いていました。

    おさんぽクローズアップ!!

    「Vins et Cuisine CEDO」

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    08年7月にオープンしたフレンチレストラン。新百合山手の街にぴったりの洗練された雰囲気で、居心地のよい時間を過ごすことができます。

    ランチ、ディナーともにオリジナルモダンフレンチ料理とフランス郷土料理のメニューを前菜、メイン、デザートでそれぞれ1品ずつ選べるプリフィクススタイ ルのコースにて用意。すべてのメニューは某有名ホテルの総料理長を20年以上にわたって勤めたフランス人シェフが数ヶ月ごとに来日して指南。若き調理ス タッフとフランス人ソムリエが確実に再現しています。

    フランス郷土料理のメニューは2ヶ月に1回変わり、1〜3月はフランドル地方の料理を提供。その後数ヶ月はノルマンディー料理が味わえる予定です。ディナーにはアラカルトも用意されているので、フランス人ソムリエが厳選したワインと気軽に味わうのもよいでしょう。

    料理教室やワインセミナーなども開催されています。

    ■ 044-955-8604

    ■ 川崎市麻生区万福寺4-8-4 ペルナ1F

    ■ 11時30分〜L.O.14時30分、17時30分〜L.O.21時30分

    ■ 火曜休

    ■ ランチコース1800円〜 ディナーコース3800円〜 アラカルト600円〜

     ※ 平成21年(2009)1月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。

    取材・文/森田奈央 

    森田奈央

    日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。