連載メニュー

おさんぽ通信

    第37回 栗平駅~白鳥~五月台駅を歩こう!

    2007/12/01
    • osanpo37_01

    1. 栗平駅
    2. 階段
    3. 尾根道
    4. 遊歩道

    5. 五力田見晴し公園
    6. 金神神社
    7. 五力田高尾根公園
    8. 五月台駅

    おさんぽ記

    小田急多摩線栗平駅(1)の広々とした駅前広場。円形の花壇にケヤキの若木が植えられ、そのまわりをベンチがぐるりと取り囲んでいます。赤ちゃん連れのお 母さんが2人座って楽しそうにおしゃべり。春から夏にかけては葉が生い茂り、ここに憩う人々によい木陰を作り出していることでしょう。

    osanpo37_02

    整然とした住宅街を歩き始め、白鳥3丁目ポケットパークの先を左折。道の奥に上方へ伸びる階段(2)を見つけます。真ん中がスロープになっていますが、自 転車やベビーカーなどが行き来するには少しスリルがあるような気がします。日射しが降りそそぐ南斜面にあり、軽く汗をかいてしまうのは間違いなさそう (?)です。

    osanpo37_03

    上りきると左右にくねくね道。左に曲がって進んでいくうち、右側に建つ家の後ろが斜面になっていることに気がつきました。家が途切れたところからは美しい 眺望が広がり、真新しい住宅街と直方体の塔。それらを眺めながら行くと今度は左側が開け、白い屋根の栗平駅が見えます。これは尾根道(3)なんだ!

    左側に下方への階段。急ぎ足で下りていく人、買い物袋を提げて上ってくる人がいるので、栗平駅の方へ向かう道に繋がっているのでしょう。50〜 60メートル先の三差路を右へ曲がると、道の左側がまたもや斜面で、少し進んだ右側も斜面。先ほどの直方体の塔がいつのまにか左に近づいています。その足 下に団地がずらりと並んでいて、平尾団地の給水塔であることがわかりました。

    平尾団地ということは、左側は東京都稲城市。地図を広げて、この尾根道は県境に続いているんだと指でなぞります。と、いままで舗装道だった尾根 道が突然、遊歩道(4)に。落ち葉に埋もれる小道は曲がっていて見通しが悪く、どこへつながっているのかなあ……? 勇気を振り絞って一歩を踏み出します。

    osanpo37_04

    心持ち早足で歩いていくと、右側の雑木ごしに子どもたちが遊んでいる声。視界は届かずも、耳には心強く届いてきます。左側に「平尾外周通」が平行し始め、不安は徐々に解消。地面に落ちているさまざまな形のドングリに目を向ける余裕も出てきました。

    そして、ふいに目の前に開けた五力田見晴し公園(5)。あずまやとベンチが置かれた木のデッキが斜面に飛び出し、太陽にまぶしく反射する新興住 宅地が見渡せます。遊歩道の先にこんなすばらしい公園が待っていてくれたことにびっくり。だれかに教えたい気持ちと自分だけの秘密にしておきたい気持ちが 同時にわき起こります。

    osanpo37_05

    気分晴れ晴れと再び尾根道へ。どんどん歩いていくと道が2つに分かれ、一方の道は少し先でさらに2つに分かれています。3本のうちのどれへ進もうか、運命の分かれ道。う〜んとしばし考えた後、いちばん右を選びます。

    osanpo37_06

    すると、道はフェンスを越えて舗装道へ変わり、またもや新興住宅地の眺め。あずまやと遊具のある公園を通って階段を下り、ここで尾根道とさようなら。階段下に「五力田見晴し公園」の看板が立てられていて、木のデッキから遊歩道を含めてここまでが公園だったわけです。

    osanpo37_07

    白鳥調整池のわきの階段を下り、白鳥小台公園に立つサクラを眺めます。白鳥保育園の手前を右へ曲がって2つに分かれる道をまたまた右へ進むと、上り坂に等間隔に植えられた太いサクラ。この先になにかあるのかな? と上り、金神神社(6)への階段を見つけます。

    お参りをして、ふと目にとまったのはお堂に飾られている1枚の絵。なだらかに連なる緑の山のてっぺんに紅白の幕を張った神社が描かれています。 「40〜45年前、いま白鳥中学校が建っているところからこちらを描いたものですね」と神社の方。「当時、神社のまわりに建物などはほとんどなかったので すが、ずいぶん変わりましたね。でも、今でもタヌキを見かけることがありますよ」。

    osanpo37_08

    そういえば、白鳥小台公園を出て白鳥保育園へ曲がるあたりから、まわりの風景がぐっと変わったような気がします。それはたぶん、道沿いに生えている木が新興住宅地の若いものとはちがってどっしりと貫禄があり、落ち着いた里山の雰囲気を漂わせているからでしょう。

    osanpo37_09

    さて、尾根道を歩いてきた今回、最後に寄ったのは五力田高尾根公園(7)。名前に“尾根”とついているからにはここも尾根なんだなあと見渡しながら五月台 駅(8)へ。鉄塔と送電線がどこまでも続いているのを眺め、さすがにこれを追いかけてトコトコ行くのはたいへんだと思いました。

    おさんぽクローズアップ!!

    「金神神社(こんじんじんじゃ)」

    osanpo37_10

    主祭神は天祖参神と金山二神。

    境内奥に奉られた「福寿大黒天」は江戸時代に青ケヤキの巨木を一木彫したもので、高さ七尺七寸(約2.3メートル)と国内随一の大きさ。米俵二 俵ではなく三俵の上に載っているのもめずらしく、「三俵の大黒天」とも呼ばれています。福徳にあふれた表情をされており、全国から多くの参詣人を集めま す。

    毎月28日には月次祭、毎年春秋には大祭を開催。2月3日の節分祭には近隣の子どもや大人が豆まきを楽しみます。豆や餅、子どもが喜ぶおもちゃ がまかれるほか、金・銀の帯がつけられた餅を拾うと、なんと景品のハンドバッグと交換。ふだんは静かな境内が歓声と熱気に包まれます。

    また、春には鶯の声とともにサクラが見事に咲き誇り、知る人ぞ知るお花見スポットとなっているそうです。

    ■ 044-989-1141(社務所)

    ■ 川崎市麻生区白鳥4-3-10

     ※ 平成19年(2007)12月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。

    取材・文/森田奈央 

    森田奈央

    日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。