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ふるさとの銘菓

    第9回 黄精飴(岩手県盛岡市)

    2015/03/06

     黄精はユリ科の多年草アマドコロの地下茎から作られる漢方で、滋養強壮に効果があるといわれる。この黄精を煎じた液をもち粉、水あめ、砂糖と混ぜて練りあげた菓子が「黄精飴」だ。盛岡で160年続く長澤屋の初代が創業時に考案。名は飴だが実は求肥。当時は菓子のことを総じて飴と呼んでいたという。

     漢方の煎汁が醸す深い色合い。柔らかな舌触りのなかにも適度な歯ごたえを感じる。かすかな野草の香りと控えめな甘みが見事に調和し品がいい。

     アマドコロは盛岡近辺で採れたものを使用。生だけでなく、乾燥したものも使うという。季節や天候が出来を左右するため、特に火加減に細心の注意を払いながら、2~3時間かけて練り上げる。生地は数日ねかせてから、ひと口サイズに切り、手作業で一つひとつ丁寧に包む。包みに記された素朴な文字は先々代によるもの。箱に描かれているのは絵で月日を表す南部暦だ。口伝で製法を受け継いだ伝統の和菓子は味だけでなく、北国の風情と温もりも伝えている。


    黄精飴本舗 長澤屋
    019-622-5887
    岩手県盛岡市神明町2-9
    営業時間/9時30分~18時30分 
    定休日/日曜
    黄精飴15個入り787円