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ふるさとの銘菓

    第18回 ケンピ(高知県高知市)

    2015/03/06

     ひと口食べて、その堅さにびっくり。すぐには歯が立たないのだ。最初は「堅干」の名で売り出されたというのも納得である。しかし、味はいたって優しい。口の中で少しずつほどけ、ほのかな甘みと素朴な味わいに心が和む。

     創製は1601年。土佐の名産であった白髪素麺や麩の製造をしていた西川屋の才兵衛が、素麺の製法にヒントを得て作った。当時の山内藩主に献上したところ、いたく称賛されたという。

     材料は主に小麦粉と砂糖のみ。砂糖を煮詰めた糖蜜を、精選した小麦粉に入れて練る。生地を薄く伸ばして棒状に細く切り、200度前後で焼き上げれば出来上がりだ。今は機械化が進んでいるが、手順自体は昔と変わらない。難しいのは生地の練り具合。最終的な判断は長年の経験に基づく職人の勘だという。

     年配の方には慣れ親しんだ懐かしい味。若い人にとっては、自然な素材への安心感と今の時代にはない堅さが、かえって新鮮にうつるのだとか。素朴な郷土菓子は今も変わらぬ人気である。


    西川屋老舗
    088-882-1734
    高知県高知市知寄町1-7-2 
    営業時間/9時~19時
    定休日/無休
    ケンピ5個入り540円