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ふるさとの銘菓

    第80回 反魂旦(はんこんたん)(富山県高岡市)

    2022/03/26
    菓匠 美都家 
    ご注文・問い合わせ 
    TEL0766-22-2864
    富山県高岡市大坪町1-4-1 
    営業時間/8時~17時 
    定休日/木曜
    反魂旦12個入り 864円

     富山といえば、薬売り。そのきっかけとなったのが、江戸時代に富山藩で作られていた和漢薬「反魂丹(はんこんたん)」だ。反魂とは魂を体に呼び戻すという意味で、腹痛などに効くと評判になり、全国に広まった。この薬にあやかって生まれたのが菓子の「反魂旦」。昭和24年創業の美都家(みつや)の初代が創製した焼き饅頭だ。
     金色の包み紙を開くと、コロンとした丸薬のような姿が現れる。上質なココアを使った生地で手亡豆(てぼうまめ)のこし餡を包んで焼いている。香り高いココアの風味と白餡のあっさりした甘みが調和し、しっとりとして優しい味わい。直径3cmほどと小ぶりで食べやすい。お茶はもちろん、コーヒーやミルクにも合う。
     3代目が店を引き継いでからは新しい味にも挑戦。白餡にバナナを練り込んだバナナ味が好評という(一部店舗で販売)。
     当時の薬売りが商品を持ち歩くのに使った柳行李(やなぎこうり)を模した箱には、子どもたちにお土産として配っていた昔懐かしい紙風船も入っている。心がほっこり元気になる銘菓である。