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ふるさとの銘菓

    第3回 真味糖(長野県松本市)

    2015/03/06

     一見硬そうに見えるが、歯を立てるとほどなく崩れ、上品な甘みとクルミの香ばしい風味が広がる。信州特産のコクのある鬼グルミを使った干菓子だ。城下町の風情が残る松本で125年続く「開運堂」の銘菓である。

     創製は大正末期。表面のクルミの断面が歌舞伎の隈取りに似ているところから、当初は「歌舞伎ぐるみ」と称して歌舞伎座で販売されていた。その後、茶席の干菓子としてよく使われるようになり、昭和中期に裏千家淡々斎宗匠から「真味糖」と命名されたという。

     生地の材料は白砂糖に蜂蜜、寒天、水飴、卵白。これらをよく練って煮詰め、クルミを加えたら平板に流して冷却して固める。ヌガーに近い独特の食感は攪拌の加減が鍵。空気の混ぜ具合によって食感が微妙に違ってしまうのだ。乾燥具合も湿度によって調整する。

     干菓子のほかに、乾燥前の水分を含んだ、しっとりとやわらかい「生」も美味。食べ比べてみるのも楽しい。


    開運堂
    0263-32-0506 
    長野県松本市中央2-2-15
    営業時間/9時〜18時
    定休日/無休
    真味糖9本入り1,123円