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ふるさとの銘菓

    第6回 牛蒡餅(長崎県平戸市)

    2015/03/06

     江戸時代に平戸藩の茶菓子として食されていた伝統菓子。当時は黒砂糖のみを使った細長い餅を茶席で切って供した。色合いと形状が牛蒡に似ていたことからこの名がついたという。

     創業以来240年にわたり製造している熊屋では、厳選したうるち米の粉を蒸してつき、砂糖を加えて仕上げにケシの実を散らす。なかでも手作りの牛蒡餅は長くのばした餅をタコ糸で切る、昔ながらの製法だ。かつては「白砂糖」「黒砂糖」の2種類だったが、今では蜜漬けにした牛蒡入りや、桜の葉を刻んだ香り豊かな「桜」、平戸産の塩とごま入りの「浜塩」、「抹茶」などさまざまな風味と彩りが楽しめる。

     モチモチした食感とほのかな甘み。噛むほどに米のおいしさが広がる。淡泊で素朴な味わいは評判が高く、昭和44年の長崎国体では天皇陛下のお茶菓子として献上されたほど。子どもからご年配の方まで幅広く愛されているが、酒のお供にする男性も多いとか。まさに平戸のソウルフードである。


    牛蒡餅本舗 熊屋
    0950-22-2046 
    長崎県平戸市魚の棚町324
    営業時間/8時30分~19時(日曜は18時)
    定休日/無休
    牛蒡餅彩りあわせ5本入り420円