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ふるさとの銘菓

    第46回 野菜菓子(東京都墨田区)

    2017/07/31
     ニンジン、レンコン、ゴボウ…。素材の色、形、風味を生かした野菜菓子は繊細な芸術品のよう。江戸時代に長期保存を目的に作られた砂糖漬けで、大変珍重されたという。梅鉢屋はこの江戸の技法を唯一受け継ぐ老舗だ。
    切った野菜をゆで、砂糖蜜で煮詰める。蜜の濃度を徐々に高めながら、〝煮ては冷まし〟を何日も繰り返すのだ。一度に濃い蜜で煮ると崩れてしまうのだとか。野菜の状態に合わせて煮る時間を調整するが、ショウガなどは3日、ニンジン、ダイコンは4~5日、ナスは1週間ほど煮込む。この作業をご主人が一人で行うというから驚く。「濃度の管理はもちろん、焦げつかないように気を遣います」
    うっすら砂糖をまとったダイコンは、周りはサクっとしているが、中は切りたてのようにみずみずしい。どれも素材の個性が味わえ、甘さもさっぱり。季節により20種類ほどそろうが、新しい野菜にも挑戦している。お茶やコーヒーのほか、お酒とも好相性。ホテルのバーなどでも提供されているという。

    向じま 梅鉢屋 
    ご注文・問い合わせ 
    TEL03-3617-2373 FAX03-3617-2372
    東京都墨田区八広2-37-8 
    営業時間/9時~18時 
    定休日/日曜、祝日、第2・4月曜
    野菜菓子「すみだ川」 中10種2,376円 中12種 3,456円 ※内容は季節により多少異なる