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ふるさとの銘菓

    第27回 古印最中(栃木県足利市)

    2015/07/25

     足利氏発祥の地にちなんで生まれた、歴史と文化の香り漂う銘菓。日本最古の学校である「足利学校」や足利氏祖先の古刹「鑁阿寺(ばんなじ)」など、足利ゆかりの古印や落款をかたどった最中で、全部で7種類ある。凹凸を忠実に再現した緻密な意匠は見るだけでも楽しい。厚みのある角型で、手に取るとずしりと重い。半分に割ると、つややかなつぶ餡がぎっしり。小豆の風味が生きた奥行きある甘さが秀逸だ。香ばしい皮との相性も抜群。小豆は北海道十勝産。豆の形状を残した独自の煮くずし法で丁寧に炊き上げる。

     創業は明治元年。五代目が郷土への思いを込めて昭和29年に創製した。包装紙を手がけたのが同郷の書家、相田みつを氏だ。まだ無名だった当時、生活費を捻出するため、デザインをやらせてほしいと飛び込みでやって来たという。箱に添えられた栞には「ひとつの事を一生けんめいやっている」という同氏の書が。味も重さも当時のまま。「至味一筋」をモットーに、ひとつの事を貫く店の姿勢が表れている。

    香雲堂本店 本店
    0284-21-4964
    栃木県足利市通4-2570
    営業時間/9時~19時 
    定休日/無休
    古印最中 7個入972円