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ふるさとの銘菓

    第45回 からすみ(岐阜県中津川市)

    2017/06/24
     からすみといってもボラの卵巣から作る高級珍味ではない。岐阜県の東濃地方に古くから伝わる郷土菓子だ。米粉を練って蒸し上げた棹菓子で、江戸末期から作られていたという。名前の由来には、子孫繁栄を願って子宝の象徴であるボラのからすみに似せたとか、唐からきた高価な墨(唐墨)など諸説ある。主に桃の節句に供えられていたが、今ではお茶菓子や手土産として一年中愛されている。
    原材料は国産の米粉や砂糖などで、そこに黒砂糖やくるみなどを加えると、さまざまな味のからすみができる。木型に入れて蒸しあげる製法は昔のまま。特徴的なのは、切った断面が富士山の形になることだ。日本一の富士山にあやかって、我が子の成長と幸せを願う親の気持ちが込められているのだとか。口当たりはしっとり、もっちりして、どこか懐かしい。甘さも控えめだ。カットする際は、少し冷蔵庫で冷やすと切りやすく、美しい形に仕上がる。硬くなったら、電子レンジなどで温めると、もちもち感がよみがえって美味。

    信玄堂 
    ご注文・問い合わせ 
    TEL0573-66-8111
    岐阜県中津川市手賀野西沼271-3 
    営業時間/8時〜19時 
    定休日/無休
    からすみ1本(くるみ・栗 各410円 黒砂糖・抹茶・白 各378円)