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ふるさとの銘菓

    第32回 吉原殿中(茨城県水戸市)

    2016/01/23
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     水戸藩の御殿女中・吉原が第九代藩主徳川斉昭のために作ったおやつが原型といわれる。当時は干し飯を使っていたが、今はもち米を使用。煎ったもち米に水あめと砂糖を加え、きな粉をまぶした半生菓子だ。市内でも複数の菓子店で作られているが、吉原殿中専門店の本屋では、昔ながらの製法で手作りの味を伝えている。

     「材料がシンプルな分、職人の腕がものをいう」とご主人。その日の気温や湿度に応じて水あめや砂糖などの配合を加減。さらに職人技が光るのが成型だ。水あめ、砂糖、きな粉を捏ねた皮で、あられ状のもち米を丸く包む。杉板でころころと転がしながら伸ばしていくと、あっという間に作業台と同じ3・6mの棒状に。きな粉をたっぷり振って切れば完成だ。断面を見ると粒と粒の間に絶妙な隙間があり、これがサクッホロッの食感を生むのだろう。きな粉の香ばしい香りと控えめな甘さが口いっぱいに広がり、どこか懐かしい。添加物を使っていないので、子どもやアレルギーのある人にも喜ばれている。

    本屋製菓 
    ご注文・問い合わせ 029-221-2980
    (メール受付あり)
    茨城県水戸市東台2-3-16
    営業/9時~18時 
    定休日/日曜・祝日 
    吉原殿中 9本入600円
    http://www.yoshiwaradentyu.com