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ふるさとの銘菓

    第17回 江出の月(富山県高岡市)

    2015/03/06

     美しい薄緑の丸い姿は水面にたゆたう月影のよう。そんな繊細な風合いをもつ江出の月は富山を代表する銘菓。天保3(1832)年創業の老舗、志乃原の三代目が、有磯の海と呼ばれた富山湾に映し出される満月の風情に心惹かれ、創案したという。その手作りの味は代々受け継がれ、現在で七代目。「昔の味を変えないでほしいというお客さんの声に支えられています」と、ご主人。

     まずは富山県産の新大正餅米を用いたおぼろせんべいを薄く焼き、1枚をさらに2枚にはぐ。はがした面を表側にし、内側に北海道産大手亡豆で作る自家製白味噌あんを挟み、表側にはさざ波をイメージしたすり蜜を吹きつける。薄いせんべいをさらに薄くはぐのに気をつかうのだという。

     せんべい越しに、茶色のあんがうっすら透けて見えるのも風雅。口に含めば、軽い歯触りとあんの上品な甘さが見事に調和する。贈り物やお土産はもちろん、お茶席の和菓子としても人気が高く、全国にファンが多い逸品である。


    江出の月本舗 志乃原
    0766-22-1020
    富山県高岡市城東1-9-28
    営業時間/8時30分~19時 
    定休日/水曜
    江出の月2枚包×12個入り1,836円