連載メニュー

ふるさとの銘菓

    第11回 羽根さぬき(香川県東かがわ市)

    2015/03/06

     包みをほどくと、指先ほどの白くて丸い粒がコロンと顔を出す。何とも愛らしいお菓子は、「讃岐の白は日本一」といわれる高級砂糖、和三盆だ。

     和三盆作りは、八代将軍吉宗の糖業奨励を受け、高松藩藩主、松平頼(より)恭(たか)が藩医の平賀源内に命じたのが始まり。文化元(一八○四)年創業の三谷製糖では先祖代々の道具を使い、昔ながらの製法を守り続けている。

     まずは地元で栽培したサトウキビを搾り、煮詰めて白(しろ)下(した)糖(とう)を作る。これを練って砂糖の結晶を丸くする「研ぎ」を行い、木綿の袋に入れて加圧し糖蜜を搾って抜く。研いでは搾る、の繰り返しだ。お盆の上で3日間(3回)研ぐことから和三盆の名がついたが、今では5日間かけて行われる。

     熟練の職人が手触り、色、音など五感を研ぎ澄まして仕上げる。丸い形は専用のはさみで一つひとつつまんで固めるのだという。よく見るといろいろな形の丸があって楽しい。口に含むとサっと溶け、柔らかな甘みに心も和む。小さな粒には二百年来変わらぬ味と思いが込められている。


    三谷製糖 羽根さぬき本舗
    0879-33-2224
    香川県東かがわ市馬宿156-8
    営業時間/9時~18時 
    定休日/無休
    羽根さぬき 丸箱入三段42個入り1,575円(袋入18個525円)