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ふるさとの銘菓

    第85回 元祖くるみゆべし(山形県米沢市)

    2023/06/24
    永井屋菓子店 
    ご注文・問い合わせ 
    TEL0238-23-0381
    山形県米沢市中央4-1-16
    営業時間/8時〜19時
    定休日/無休 
    元祖 くるみゆべし 12個入り 1,850円

     1802年に創業した永井屋。山形県米沢で五穀などを扱う穀物商として始まったが、やがて大豆や餅米を使って菓子をつくるようになった。看板商品のひとつが「くるみゆべし」だ。
     上杉謙信公の時代、ついた餅に味噌を加え柚子で香りをつけた兵糧がゆべしの起源とされるが、時代を経て菓子に転じた。柚子が手に入らないこの地で、替わりにくるみを入れたのは先達の発案だ。以来、東北地方ではくるみゆべしが郷土菓子として広まった。
     上杉家や伊達家とゆかりの深い土地で、五代目当主の永井栄吉さんは一子相伝の菓子づくりを誠実に守っている。「誰もが平等に楽しめる菓子づくりをしています」と話す。国産の餅米とくるみ、砂糖、しょうゆと素材はシンプルだが、時代に合わせて少しずつ製法を進化させてきた。モチモチとした食感と上品な甘さ、ほんのり香ばしいくるみがアクセントとなり、飽きのこないおいしさだ。歴史に育まれた素朴な菓子は、懐かしいふるさとの味がする。