連載メニュー

ふるさとの銘菓

    第38回 加勢以多(かせいた)(熊本県熊本市)

    2016/09/24

     加勢以多とは、ヨーロッパから渡来したマルメロの果実を使った菓子で、ポルトガル語の「カイシャ・ダ・マルメラーダ(マルメロ砂糖漬の箱)」の二句が訛ったものといわれる。利休の高弟とされる細川三斎公が大変気に入り、茶席に取り入れた。
     江戸時代には、細川家秘伝の銘菓として、幕府へ献上された。製造がしばらく途絶えていたが、平成10年に「お菓子の香梅」が手作りで復元。もち米でつくったおぼろ種でマルメロ羹(現在はカリンのジャムを使用)をはさみ、細川家の家紋「九曜の紋」を焼き付けてある。気品のある姿にさっくりとした口あたり。繊細なおぼろ種と柔らかなジャムが一体となり、口中にほのかな甘酸っぱさが広がる。
     実は、水前寺成趣園(水前寺公園)内にある「古今伝授の間」の管理委託が縁で、加勢以多の再現に取り組んだのだという。細川家初代・幽斎公が、『古今和歌集』を八条宮智仁親王に伝授した、宮家の学び舎だ。日本の文化を伝承したいという真摯な想いが菓子作りにも息づいている。

    お菓子の香梅
    ご注文・問い合わせ 
    0120-37-5081(9時〜17時) 
    熊本県熊本市中央区白山1-6-31 
    営業時間/9時15分〜19時45分 
    定休日/無休
    加勢以多 16枚入り1,620円
    http://www.kobai.jp/