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ふるさとの銘菓

    第30回 黒大奴(くろやっこ)(静岡県島田市)

    2015/11/21

     箱を開けると、つややつやと輝く黒大奴がぎっしり。整然と並ぶ美しい姿は高級チョコレートのようだが、実はこし餡を昆布入りの羊羹で包んだ生菓子。享保年間創業の清水屋の看板商品だ。日本三奇祭の一つ、「島田の帯まつり」で帯を太刀にかけて練り歩く大奴にちなんで、明治後期に創られた。
     表面のツヤの秘密は昆布。羊羹を練るにつれ、昆布のとろみが美しいテリを生むのだという。餡は北海道産小豆のさらし具合を少なめにし、素材の味を生かす。これを俵型にし、羊羹が熱いうちにかける。乾いたら箱に詰め、最後にケシの実を載せれば完成だ。餡を俵型にまとめるのも、箱に隙間なくきっちり並べるのも手作業。餡を正確に手に取り、形を整える。詰めるにはスピードも必要だ。そんな長年の経験に基づくプロの手仕事が、箱をあけた瞬間の感動をもたらすのだ。昆布の塩気と旨みがさらりとした餡の爽やかな甘みを引き立てる。食べやすいひと口サイズ。お茶はもちろん、コーヒーなどにも合う。

    清水屋 本店
    0547-37-2542 
    静岡県島田市本通り2-5-5 
    営業時間/8時30分~19時
    定休日/無休 
    黒大奴15個入り 972円