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ふるさとの銘菓

    第21回 初夢漬(千葉県匝瑳(そうさ)市)

    2015/03/06

     「一富士、二鷹、三なすび」と言われるように、初夢で見ると縁起がいいとされる茄子。その茄子を使った珍しい菓子が初夢漬だ。230余年の歴史をもつ鶴泉堂が、創業時から手作りで受け継ぐ伝統の味である。

     材料は茄子と砂糖だけ。茄子を蜜で煮るというシンプルな製法だが、実に手間がかかっている。まず、地元で有機栽培した茄子のヘタを取り、ゆでる「ゆで加減ですべてが決まってしまう」とご主人。水にさらしてアクを抜いたら、いよいよ煮込み作業だ。1回ごとに蜜の糖度を上げながら8回煮込み、約1カ月かけて完成する。間のあけ方や煮込み時間などは職人の勘が頼り。8月中旬から10月上旬までの間に、1年分約4万個を漬けるという。

     店頭に出す際はまた、新しい蜜で煮込みなおし、仕上げに白砂糖をまぶす。真っ白い姿は雪をまとったよう。見ためほど甘くなく、ゼリーのような食感だ。じっくり甘みが染み込んだ深い味わいは、緑茶やコーヒーはもちろん、ウイスキーやブランデーにも合う。


    鶴泉堂
    0479-72-0018
    千葉県匝瑳市八日市場イ2871
    営業時間/8時30分~18時30分
    定休日/水曜
    初夢漬(8~10個)1,851円