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ふるさとの銘菓

    第73回 むらしぐれ(大阪府泉佐野市)

    2020/11/21
    むか新 羽倉崎店 
    ご注文・問い合わせ 
    TEL0120-41-0005
    大阪府泉佐野市羽倉崎1-4-7 
    営業時間/9時~19時 
    定休日/水曜
    むらしぐれ 1本480円 http://www.mukashin.com

     小豆の生餡に砂糖と米粉を混ぜて蒸しあげた、大阪南部の泉州地域に伝わる棹菓子。しぐれという名は、江戸時代に病気療養中だった岸和田藩主が献上された菓子を気に入り、ほろほろとした口当たりが時雨を思わせるとして名づけたといわれる。明治25(1892)年創業のむか新では「むらしぐれ」として伝統の味を守り続けている。
     しぐれの生地は一般的に、水分を飛ばして固めに練った“火取り餡”を使うが、泉州地域では小豆を炊いて裏ごしし、皮を取り除いて水分を絞った“生餡”から作る。そのため、さらっとした食感が特徴。生餡の水分や品質に応じて砂糖や米粉、餅粉の混ぜ加減を調整し、ふるいでそぼろ状にして型で蒸しあげる。細かな作業だが、特に小豆の皮を割らずに中が煮えるように炊くのが難しいという。薄紫の美しい色合い。舌の上でほろりとほどける繊細さが心地いい。さっぱりした甘みで小豆の風味も豊か。少人数には「むらしぐれ小函」も好評。コーヒーや紅茶にもよく合う。