第86回　青島せんべい（宮崎県宮崎市）

　青い海と空、白浜とビロウ樹（椰子の木）のパッケージが目をひく「青島せんべい」。昭和40年代、宮崎が新婚旅行のメッカだった頃にこの地を訪れた人たちは、変わらぬ味に懐かしさを覚えるという。
　和菓子を中心に製造していた日進堂が、時代の流れに応じてハイカラな菓子をと考案したのがこの商品だ。一見ゴーフルに似ているが、一番のこだわりはせんべいであること。
　「ゴーフルはクリームが主役なのに対し、青島せんべいはクリームとせんべいが同格の存在です。小麦粉に米粉を配合することで、パリッとした食感を出しています」と話すのは三代目の宮野秀人さん。オリジナルのホワイトクリームはラム酒やリキュールなどの洋酒を隠し味に加えた上品な味わいで、主張しすぎることなく全体が調和している。その後ピーナッツ、日向夏、ストロベリー、マンゴーとクリームの種類を増やし、宮崎の定番土産として現在も人気は健在だ。時代を超えて愛され続ける銘菓とともに、南国の地に想いを馳せたい。