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ふるさとの銘菓

    第41回 けし餅 大阪府堺市

    2017/01/27

     かつて南蛮貿易の拠点として栄えた堺には、海外から珍しい産物が入ってきたが、室町時代にインドからもたらされたケシの実もその一つ。その実の香味を活かして考案されたのが、小島屋のけし餅だ。延宝年間の創業以来、300年以上にわたり、家伝の製法を守り続けている。当時より堺の名物として珍重され、今も茶の湯の席や土産物として人気が高い。

     きめ細かなこし餡を、薄く柔らかな餅皮で包み、その表面にびっしりとケシの実をまぶしてある。噛むと、口の中でケシの実がプチプチとはじける食感が楽しく、風味も香ばしい。餅の柔らかさと餡の控えめな甘さが相まって格別のおいしさだ。実がポロポロと落ちずに美しさを保っているのも特筆もの。江戸初期には堺近郊でケシの実が栽培されていたが、現在日本では栽培されていないため、同店では質の良いトルコ産を使用。小豆は北海道産。一番の食べごろは作りたてだが、餅皮が堅くなったら遠火で焼くのもおすすめ。一層香ばしさが加わり、また違った風味が楽しめる。

    小島屋 
    ご注文・問い合わせ 
    TEL072-232-0313
    大阪府堺市堺区宿院町東1-1-23 営業時間/8時30分~18時 定休日/無休 
    けし餅6個入り(紙函) 908円 12個入り(木箱)1,923円