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ふるさとの銘菓

    第26回 明がら寿(秋田県大館市)

    2015/06/27

     なんとも風流な名前である。寒天と砂糖でできた寒氷にクルミを混ぜた大館名物。純白の生地にクルミを散らした様子が暁の空に飛ぶ烏に見えることから、地元の俳人が命名したという。市内でも幾つかの菓子店が手がけているが、明治34年創業の山田桂月堂では寿の字を当て、昔ながらの味を守り続けている。

     寒天、砂糖、和グルミと材料はシンプルだが、製造には熟練を要する。例えば寒天と砂糖を煮詰める温度は、湿度や気候に応じて職人が加減する。温度を下げてからの混ぜ方もポイントだ。めん棒を動かす手数を少なめにすることで寒天のコシを保ち、純白に仕上げる。型に流し込んだら、頃合いを見計ってクルミを入れる。滑らかな中にもサクリとした独特の歯触り。舌の上でトロリと溶け、濃厚な甘みが広がる。

     時代とともに甘さ控えめな菓子が増えているが、この強烈な甘さには根強いファンも多い。緑茶やコーヒーに合うほか、お茶席でも好評。箱のデザインもレトロな雰囲気で味わい深い。

    山田桂月堂
    電話0186-42-0236 
    秋田県大館市御成町1-10-14
    営業時間/8時~19時 
    定休日/第3月曜 
    明がら寿1本378円